2018年度中央区予算編成に関する予算要望書

中央区長  矢 田 美 英 様
2017年9月28日
 
                            日本共産党中央地区委員長  尾 坪   順
                            日本共産党中央区議会議員  小 栗 智恵子
                                          志 村 孝 美
                                          加 藤 博 司
                                          奥 村 暁 子

 本日、安倍晋三首相が臨時国会の冒頭、衆議院を解散しました。
 総選挙で、消費税を再来年10月から10%に引き上げるさい、その使い道を教育などに広げることを総選挙で問うとしています。野党が憲法にもとづいて要求した臨時国会で「森友疑惑」「加計疑惑」などが追及されるのを恐れて冒頭解散を強行し、合わせて国民をごまかして消費税増税を押し付けることは許されません。
 「森友・加計」疑惑など国政を私物化、戦争法や共謀罪の強行など憲法破壊、そして沖縄米軍基地建設や原発再稼働などで民意を踏みつけにしてはばからない安倍政治の暴走ストップが求められます。
 北朝鮮の核・ミサイル問題をどう解決するのかも大きな問題なっていますが、9月11日に全会一致で採択された国連安保理決議は、経済制裁を強化するとともに、「対話を通じた平和的・包括的な解決」を呼びかけました。ところが安倍首相は国連演説で「必要なのは対話ではない、圧力だ」と強調するなど、対話をまっこうから否定し、軍事圧力を強める米国の姿勢を「一貫して支持」と表明しました。
 今年4月以降、北朝鮮の警戒・監視にあたる米イージス艦に海自補給艦が「給油」したり、5月には海自護衛艦が日本海に向かう米補給艦の「防護」実施など、国民が知らないところで戦争法がひそかに発動されていたことが明らかになっており、万が一、米朝の軍事衝突になれば、日本が米国の戦争に自動的に参戦することになります。日本が戦争の当事国になっていいのか問われる大問題であり、憲法違反の安保法制=戦争法の廃止は急務です。
 暮らしと経済の問題では、消費税10%の中止と、格差と貧困をただす改革が求められます。5年間にもなろうとする安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、格差と貧困を拡大し、社会と経済の危機を深刻にしました。
 「異次元の金融緩和」と株高政策のもとで、大企業の経常利益は、2012年度から2016年度の4年間で1・5倍近く増加し、過去最大となり、大企業の内部留保は、年度として初めて400兆円を突破しました。
 一方で、働く人の賃金は冷え込んだままでわずかに下落し、7月の家計調査では2人以上世帯の実質消費支出額も1カ月あたり1万8000円の切り詰めとなっています。有効求人倍率の上昇も、労働条件が過酷で低賃金の非正規雇用が中心で、日本経済の6割を占める個人消費は落ち込んだままです。アベノミクスの象徴である異次元の金融緩和で「消費者物価上昇率を2年間で2%」としてきた達成時期も、幾度となく先延ばしされるなど、安倍政権の金融政策はすでに破たんしています。
 社会保障費は、高齢者の増加などに伴う「自然増」を毎年1000億円以上削減する政治を続け、高齢者だけでなく国民全体に犠牲を強いています。来年4月から実施予定の国民健康保険の都道府県化では、国保料の大幅アップの試算などが明らかになり、住民負担の強化に対する不安と警戒が広がっています。
 秘密保護法に加え、集団的自衛権の行使容認、安保法制=戦争法や「共謀罪」法の強行など、憲法破壊を繰り返し、アベノミクスの失敗のツケを国民に押しつける安倍政権に、区民の暮らしも日本経済も任せることはできません。
 昨年の東京都知事選、今年7月の都議選で「都民の利益最優先」を掲げた小池百合子都知事と知事与党の「都民ファーストの会」ですが、都政のチェック機能を果たさず、小池知事の方針を無条件に支持する態度が際立っています。
 小池都知事は、「東京大改革」、「情報公開」、都政の「見える化」と言ってきました。しかし、都政の闇の象徴である築地市場の豊洲移転問題で、豊洲の汚染土壌も地下水も環境基準以下にするという都民と市場業者の約束を反故にし、移転推進にかじを切りました。
 「食の安全・安心」も守れず、改革に希望を託した都民の願いに背を向ける姿勢に、都民、そして市場関係者の怒りは広がるばかりです。「食の安全・安心」を確保するためには、築地市場現在地再整備しか道はありません。
 中央区に求められるのは、国や都にたいし、区民の立場に立った施策の拡充を積極的に働きかけるとともに、区民に一番身近な自治体として、持続可能な長期的展望にたったまちづくりや地域経済の活性化、福祉の充実など独自の努力です。
 住民の安全・暮らし・福祉を守るという「地方自治の本旨」にたち、「区民こそ主人公」をあらゆる施策につらぬいて、その責任を果たすことを強く望みます。
 日本共産党中央区議会議員団は、区民のみなさんから寄せられている切実な要求や毎年行っている区議団による「区民アンケート」の結果などを集約し、わが党の政策的提起とともに、ここに542項目の「2018年度中央区予算編成に関する要望書」を提出します。
 貴職が、これらの区民要求を積極的に施策に取り入れて予算化し、区民の期待にこたえられるよう強く要望いたします。

 

目 次

一、平和と自治権拡充をつらぬき、清潔でむだのない、区民本位の区政を実現するために
1.区民に開かれた、区民参加の区政をすすめるために       ………………(1)
2.実効ある男女平等・共同参画実現のために           ………………(1)
3.清潔、公正、区民本位の行政改革をすすめるために       ………………(2)
4.「公契約条例」の制定、官製ワーキングプア根絶のために    ………………(2)
5.指定管理者制度の改善のために                ………………(3)
6.都区制度改革を真の地方自治の復権・拡充とし、区財政の確立をすすめるために
                                   ………(3)
7.核戦争阻止、核兵器廃絶を実現し、平和憲法と民主主義を守るために  ………(4)

二、区民の生命、財産を守る防災・防犯対策の強化のために
1.住民自治の発揮を重視した、実用的な「中央区地域防災計画」にするために …(4)
2.防災拠点や帰宅困難者対策などの強化のために   ………………………………(5)
3.医療体制強化のために              ………………………………(6)
4.公共施設の防災対策強化のために         ………………………………(6)
5.防災訓練の向上のために             ………………………………(6)
6.情報伝達の向上のために             ………………………………(7)
7.耐震改修をすすめ、災害に強いまちづくりをすすめるために  …………………(7)
8.マンションの防災対策拡充のために        ………………………………(8)
9.津波・都市型水害対策の強化のために       ………………………………(8)
10.防犯対策の強化のために        ……………………………………………(9)

三、日本経済の主役である中小企業・商店の振興と地域経済の活性化のために
1.築地市場の現在地再整備を実現するために  ………………………………………(9)
2.観光振興充実のために         ……………………………………………(9)
3.地域産業・中小企業振興のために      ………………………………………(10)
4.商店街の発展のために        ………………………………………………(11)
5.景気回復・地域経済の活性化のために  ……………………………………………(11)
6.雇用拡大・安定した雇用制度への改善のために  …………………………………(11)
7.消費者保護の充実強化をはかるために    …………………………………………(12)

四、区民のくらしと福祉、健康を守るために
1.高齢者のくらしと福祉充実のために   …………………………………………(13)
2.高齢者施設の整備をすすめるために   …………………………………………(13)
3.介護保険制度の改善のために     ……………………………………………(14)
4.保育の充実のために        ………………………………………………(15)
5.子どもの健やかな成長を保障する児童館運営のために   ……………………(16)
6.子どもの貧困打開など子育て支援の充実のために  ……………………………(16)
7.子どもの事故、児童虐待防止のために  …………………………………………(17)
8.障害者・障害児の生活と権利を守る総合的な福祉制度を確立するために ……(17)
9.生活困窮者への援護等の充実のために  …………………………………………(18)

五、保健医療・衛生活動の充実をはかるために
1.保健医療の充実で区民の健康を守るために    ………………………………(18)
2.放射能から子どもと区民の命と健康を守るために   …………………………(20)
3.区民の命をまもる国民健康保険のために    …………………………………(20)
4.年齢で差別する後期高齢者医療制度の改善のために   ………………………(21)
5.年金制度の充実のために         ………………………………………(21)

六、環境を守るまちづくりをすすめるために
1.地球温暖化・ヒートアイランド現象に歯止めをかけるために …………………(21)
2.公園・緑地の整備・拡大をすすめ、緑ゆたかなまちをつくるために …………(22)
3.公害・大気汚染対策の強化のために    ………………………………………(22)
4.資源リサイクルの推進のために      ………………………………………(23)

七、超高層ビル中心の「都市再生」から、「住民本位」のまちづくりに転換するために
1.まちづくりの視点を効率優先から住民本位へと転換するために ………………(23)
2.地域資源を生かしたまちづくりのために  ………………………………………(24)
3.住み続けられる住宅対策を進めるために  ………………………………………(25)

八、交通政策を自動車中心から歩行者中心に転換し、命と環境を守る
まちづくりをはかるために
1.自動車中心の交通政策の転換をはかるために  …………………………………(25)
2.「江戸バス」の利便性をたかめるために    …………………………………(26)
3.自転車を重要な都市交通手段として位置づけるために  ………………………(26)
4.バリアフリー・福祉のまちづくりをすすめるために   ………………………(27)

九、子どもたちの豊かな成長を保障する教育をすすめ、区民のための文化・スポーツの発展のために
1.侵略戦争肯定の教育や「日の丸・君が代」強制をやめさせるために  ………(28)
2.民主的教育の推進のために          …………………………………(28)
3.少人数学級の実現で、ゆたかな人間形成とたしかな基礎学力を保障するために(29)
4.保護者の教育費負担の軽減のために     ……………………………………(29)
5.教育環境を守り、安全でゆとりのある学校教育のために  ……………………(30)
6.学校図書館の充実のために         ……………………………………(30)
7.安全な学校給食実施のために        ……………………………………(30)
8.放課後の居場所「プレディ」の充実のために     …………………………(31)
9.障害児教育の充実のために         ……………………………………(31)
10.いじめの解消、不登校の問題解決のために    ………………………………(31)
11.社会教育の充実のために              …………………………(32)
12.社会体育の充実のために              …………………………(32)
13.文化の発展に寄与する図書館運営のために      …………………………(32)

一、平和と自治権拡充をつらぬき、清潔でむだのない、区民本位の区政を実現するために

1.区民に開かれた、区民参加の区政をすすめるために
(1)区議会各委員会の報告資料はPDFなどにデータ化すること。
(2)区議会ホームページの会議録の理事者報告はタイトルだけの記載でなく、理事者の報告説明と委員会報告資料も掲載すること。
(3)区長、議長の公用車の運転日誌をHP上で公開すること。
(4)パブリックコメントの実施にあたっては、十分余裕のある公募期間の設定と徹底した情報提供をおこない、区民の意見を募ること。
(5)各種審議会については、女性委員の登用をすすめること。いっそうの住民参加と民主的運営をすすめるために①審議会委員の公募の拡大と議会各会派の代表の参加を保障すること。②すべての審議会を公開し、審議経過および結果の公表をおこなうこと。③専門家や関係住民の意見の公述、公聴会の開催を可能とすること。④住民アンケートの実施など住民の意見が直接審議会に反映できるよう保障すること。⑤傍聴人の人数制限を廃止すること。⑥土日や夜間の開催なども適宜、検討すること。
(6)「中央区オンブズパーソン制度」を導入し、区民からの苦情処理・行政監視・行政改善を求める意見の表明を通じた、区民の権利・利益の保護をはかること。当面、福祉、医療分野に、早期に「福祉オンブズパーソン制度」を導入すること。
(7)部落排外主義と暴力的「糾弾権」の温存、利権あさりの永久化をねらう部落解放同盟が主催する集会等に、いかなる形態でも、財政的な援助や職員・教員を派遣することは絶対に行なわないこと。
(8)ヘイトスピーチ解消法の趣旨を捉え、区としても差別扇動行為の根絶と共生社会実現のため力を尽くすこと。
(9)ヘイトスピーチ及びヘイトデモが行われることが予測される場合には「正当な理由があると認められた場合、公園など公共施設の利用を拒むことができる」とした法務省の「参考情報」を生かし、公共施設の使用を認めないなど、法の趣旨を捉え積極的に対応すること。
(10)情報開示手数料を無料にすること。区民利用者は、早急に無料にすること。

2.実効ある男女平等・共同参画実現のために
(1)「男女共同参画行動計画」をふまえ、意識啓発と男女平等教育を強め、実効ある施策の推進を図ること。
(2)女性労働者の54.6%(2017年6月。総務省「労働力調査」)が非正規雇用で、女性の賃金は男性の約半分という雇用環境を改善するため、女性差別撤廃条約、男女雇用機会均等法の内容を区内企業へ徹底すること。
(3)女性センターブーケ21が男女平等、男女共同参画社会のための拠点施設として機能するよう、利用者の声を生かし取り組みを強化すること。
(4)女性センターブーケ21に設置しているピアノは適宜調律をおこなうこと。重すぎる研修室の椅子を改善すること。施設利用時に発生するごみは、持ち帰りさせず、施設の責任で処理を行うこと。
(5)DV、デートDV、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントなどの相談機能を充実させ、被害者対策の強化をはかること。その際、プライバシーが完全に守られる場所を使用すること。
(6)「ワーク・ライフ・バランス」推進のため、各企業に強力に指導徹底するよう国に求めること。また、中央区としても、子育てと仕事を両立し、人間らしく働けるルール確立のため、「ワーク・ライフ・バランス認定企業」の普及啓発をさらに促進すること。

3.清潔、公正、区民本位の行政改革をすすめるために
(1)2005年11月に二人にした副区長は、一人に戻し、条例上も「一人副区長制」に変更すること。
(2)行政改革は、真に住民本位の立場で行政の簡素化、住民サービスの向上をめざし、サービスの切り下げや「受益者負担」の適正化の名のもとに区民負担を増大させないこと。
(3)「新たな公共」の名の元に、民間や区民との役割分担や「協働」の自治を探求するとして、自治体の公的役割を後退させたり、住民サービスの主体の民間へのシフトは行わないこと。
(4)「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)」の中止を国に求めること。
(5)マイナンバーカードの取得は任意であることを徹底し、窓口等でマイナンバーの記載を拒否した場合にも不利益が生じないようにすること。
(6)戸籍など個人情報を扱う業務は、個人情報が漏洩する恐れがあるので区が直接行うこと。
(7)マイナンバーカードの活用範囲をむやみに拡大せず、個人情報保護を徹底すること。
(8)従業員のマイナンバーを記載した住民税特別徴収税額の決定通知書の事業所への送付は行わないこと。
(9)区民サービスに必要な職員の削減や非正規化を行わないこと。
(10)区職員の長期休職者の8割がメンタル疾患であるという現状を踏まえ、未然防止、早期発見、再発防止のため、相談体制の強化や職場環境の向上などの改善に取り組むこと。
(11)セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントなどのハラスメント防止対策について、より相談しやすい環境づくりに努めること。
(12)本庁舎まで出向かなくても、特別出張所でも生活保護の申請などのサービス提供や相談が受けられるように、完結的で一貫したサービスを抜本的に充実すること。
(13)本庁舎の建て替え等、区施設整備については、情報公開を徹底し、区民の理解のもと、計画・実施すること。
(14)「賀詞交歓会」をはじめ、イベントの簡素化をはかること。
(15)中央区の各種イベントへの大企業の協賛・参加によって、行政が歪められないようにすること。また、区発行の刊行物に企業の広告掲載はやめること。
(16)長期的に見れば経費増となるPFI手法を区の施設計画に安易に導入しないこと。
(17)東京電力、NTT、東京ガスなどの電柱等の道路占用料は、適正価格に近づけるため毎年改訂すること。
(18)海外視察をする場合には、区民への徹底した情報公開に努め、区民の理解を得た上で実施すること。

4.「公契約条例」の制定、官製ワーキングプア根絶のために
(1)区が発注する公共事業や指定管理者も含め業務委託に関わる労働者の賃金水準を確保するため「中央区公契約条例」を早期に制定すること。制定にあたっては、公契約に関わる従事労働者の実態を調査し、範囲や賃金水準など関係者や社会保険労務士などの専門家の意見を幅広く取り入れ、定めること。また、国の制度として「公契約法」を制定するよう求めること。
(2)プロポーザルにおける参加業者選定の手続きや選定結果、参加業者が提出した提案書などの詳細を公表すること。
(3)総合評価入札制度は、公正な労働基準・下請け業者との適正な取引なども含めて判断できるように改善すること。
(4)担当者の裁量の余地の多い随意契約や指名競争入札は、より公開性の高い「制限つき一般競争入札」への移行をいっそうすすめること。さらに、区内中小企業対策も考慮しながら、一般競争入札方式を全面的に採用するようにすること。
(5)工事積算と予定価格の見積りは、科学的で正確なデータにもとづいて厳正におこなうこと。また、予定価格と受注側の見積り内訳書について、公正な立場から審査する積算審査制度の研究・検討をすすめること。
(6)入札監視委員会の審議対象になっている委託料契約の随意契約・プロポーザル方式については、いっそうの監視を強めること。
(7)官製ワーキングプアをなくすため、非正規職員を順次、正規職員に切り替えること。
(8)「下請け二法(下請代金法・下請振興法)」の基準・精神を大企業に守らせるよう、大企業への指導を強めること。あわせて、同法を下請け企業や中小企業が活用できるよう区として啓発に努めること。
(9)建設関係下請け企業の経営を守るため、区発注の公共事業の受注ゼネコンの前渡金が同比率で下請け企業に渡されているかどうか、発注者として点検・指導すること。
(10)設計労務単価が、下請け企業や一人親方などとの契約にきちんと反映するよう指導するとともに、社会保険労務士などの専門家による抜き打ち調査を拡充すること。

5.指定管理者制度の改善のために
(1)「民間活力の活用」として施策の民営化や、これ以上の指定管理者制度の導入をやめるとともに、導入した施設は順次直営に戻すこと。
(2)指定管理者が実施する「利用者アンケート」に寄せられた利用者の意見・要望を公表させ、管理運営にいかすよう指導すること。
(3)区民館の管理や予約方法は利用者本位となるよう絶えず改善に努めること。
(4)指定管理者が作成した「仕様書」を議会に提出すること。
(5)指定管理者を対象とした「労働環境調査」を拡充・継続し、労働環境向上に努めること。
(6)区が指定管理者制度を導入した施設における労働条件や賃金などの実態調査をおこない、抜本的に改善させること。社会保険労務士による抜き打ち調査などを行い、常に労働条件・環境の改善をはかること。

6.都区制度改革を真の地方自治の復権・拡充とし、区財政の確立をすすめるために
(1)都区制度改革については、区の自主権の抜本的拡充に向け、都に対して二十三区の区民の暮らしや福祉の充実を基本において断固とした立場で交渉すること。
(2)固定資産税等調整三税の都区間での配分については、都に主導権をゆだねるのではなく、区側の調整率の引き上げを強く主張する確固とした姿勢を貫くこと。
(3)東京都による「合区」の動きには、断固として反対すること。
(4)広域自治体化と規制緩和で財界・大企業が活動しやすい条件づくりをめざす「道州制」の導入に反対すること。

7.核戦争阻止、核兵器廃絶を実現し、平和憲法と民主主義を守るために
(1)国に対し、核兵器禁止条約に参加し、核兵器廃絶の先頭に立つよう求めること。
(2)核兵器の非人道性を告発し、使用禁止を訴える核不拡散条約(NPT)再検討会議、核兵器廃絶の世界的世論に呼応した行動に積極的に取り組むこと。
(3)2010年に「平和首長会議」に加盟した中央区として「中央区非核平和都市宣」を発表し、国に核兵器廃絶の国際条約制定を積極的に求めるとともに、核兵器廃絶を求める署名活動や核兵器保有国への書簡送付など、核戦争阻止、核兵器全面禁止の実現に、力を尽くすこと。
(4)「非核3原則」の堅持とともに、「核密約」などの日米密約の全面公開と密約の破棄を国に求めること。
(5)「非核平和東京都宣言」を行い、外国艦船の東京港入港・晴海埠頭接岸時に「核兵器不搭載証明書」を提出させることを都に強く働きかけること。
(6)原爆写真展や平和シンポジウム、区内の東京大空襲、学童疎開などの戦争資料や「原爆マグロ」に関する資料の収集に努め、自治体にふさわしい平和のための行動をくりひろげること。
(7)中央区「平和展」で、アジア諸国への日本軍による加害の実態を知らせること。(1)安全保障関連法(戦争法)の廃止を国に求めること。              
(8)改正組織的犯罪処罰法(共謀罪法)の廃止を国に求めること。
(9)「日本版NSC(国家安全保障会議)」や「特定秘密保護法」の廃止を国に求めること。
(10)構造的欠陥が明らかな垂直離着陸機オスプレイの飛来や訓練の中止、沖縄や横田基地をはじめとする国内配備の撤回を国や米国に求めること。
(11)米軍横田基地の核攻撃基地化に反対し、東京港の軍港化を許さないこと。米軍基地撤去、ヘリパッドなどの米軍新基地建設中止、米軍横田基地の返還をアメリカに要求することを国と都に求めること。
(12)国連憲章の平和ルールの確立、異なる価値観を持った諸文明間の対話と共存の関係の確立に自治体としても取り組み、国際交流事業を充実させること。

二、区民の生命、財産を守る防災・防犯対策の強化のために

1.住民自治の発揮を重視した、実用的な「中央区地域防災計画」にするために
(1)超過密で地震に脆弱な都市づくりを加速させる「東京一極集中」政策を転換し、災害に強い、防災・環境を最優先にしたまちづくりに抜本的な転換をはかること。
(2)「予防原則」に立脚した防災計画にするため、住民や専門家の参加も得て、定期的に河川、地下街、住宅密集地、ガソリンスタンドなどの火災発生危険箇所、避難施設、道路、消防・救助施設などを総点検し、結果を公表するとともに、補強、改造、応急対策を進めること。
(3)熊本地震の教訓をふまえ、「中央区地域防災計画」策定は、首都直下地震だけでなく、東海・東南海・南海の3連動地震におけるM9以上も想定し、津波や液状化、原発事故も含めたものになるよう抜本的な見直しをおこない必要な対策をとること。 
(4)防災拠点や小学校区単位、あるいはさらに小規模地域の単位で、住民の参加と協力で「わがまち」を総点検し、地域の特性に合わせた被害想定と防災計画づくりにとりくむとともに、共同作業で総合的まちづくりマップ・防災マップの作成をおこなうこと。
(5)「中央区地域防災計画」は、実用的・実践的な計画とすること。扱いやすい計画とするため、対策項目は簡明にし、個別対策についての手順や実施基準は、別途マニュアル等で提示すること。
(6)中央区内での関東大震災等の災害状況の資料収集・分析をおこない、今後の区内防災対策に生かすこと。
(7)すべての消防団が詰所を確保できるよう都に働きかけるなど援助すること。また、訓練場所を確保できるよう支援すること。
(8)団員の報酬や費用弁償を大幅に引き上げ、団員の処遇改善するため、東京都に求めると同時に、区としても独自に支援を強化すること。

2.防災拠点や帰宅困難者対策などの強化のために
(1)広域避難場所、避難路、一時集合場所等については、系統的に周知を図ること。また、地域の在勤者数の状況も考慮し、避難場所等の独自の再検討や対策を立てるとともに、国や都に必要な施策を講じるよう要請すること。
(2)防災拠点・避難場所の活動計画には、女性・高齢者・障害者・介助者の参加を得て意見を反映させ、さらに実践的なものに改善すること。
(3)防災拠点・避難場所のバリアフリー化を早期にすすめること。トイレは洋式化をすすめ、必要な手すり等も設置すること。自家発電の整備や発電能力を強化すること。
(4)避難生活に伴う生活不活発病の予防対策や精神面でのケアなど、避難所でのケア体制を充実強化すること。また、エコノミークラス症候群の予防のため、防災備品として簡易ベッドの備蓄をさらに増やすこと。
(5)住民の理解と同意を得て「災害時地域たすけあい名簿」の登録者を増やすとともに、避難や救助の際に活かせるようにすること。
(6)保育所など女性と幼児が多数を占める施設への発災時の支援体制を充実させること。
(7)防災拠点の地下にある備蓄倉庫を上階に移設すること。
(8)妊産婦や乳児のため、避難所への助産師や保健師が速やかに対応できるよう、区として、派遣体制を拡充し、災害時の速やかな対応に努めること。
(9)災害弱者の避難時に有効で、幼児から大人まで対応できる「おんぶひも」を希望するすべての災害時要援護者に貸与すること。
(10)「被災者生活再建支援法」を、すべての被災者を対象にした生活再建・自立を支援することを目的とした制度とするよう国に求めること。
(11)区内事業所が、区の「防災計画」に見合った防災対策、帰宅困難者対策、事業継続計画(BCP)を策定するよう指導すること。とくに大企業への指導を強めるとともに、多数を占める中小企業に対しては、指導・啓発とともに必要な援助をおこなうこと。また、事業所、労働団体および行政の恒常的協議機関を設けること。
(12)ぼう大な帰宅困難者対策は、東京都との協力体制を強化し、訪日外国人も考慮した受け入れ施設の拡充や施設に関する情報発信、施設への誘導などきめ細やかな対策をたてること。
(13)携帯電話やスマートフォンなどの電子通信装置の非常用充電器を防災拠点だけでなく、副拠点にも配備すること。

3.医療体制強化のために
(1)医薬品の備蓄や基幹病院への無線の配置、緊急搬送システム、広域的な救急医療体制を東京都と協力して強化すること。
(2)災害時の医療諸活動の充実のため、医師会との協力関係をさらに強化すること。
(3)病院など医療機関の耐震性強化と耐震性水槽の完備・充実と自家発電能力の強化に協力し、区内中小病院・院所を重要な救急医療機関として位置づけ、その保全対策をはかること。
(4)在宅サービスを受けている人たちの状況を把握しているケアマネジャーの所属する事業所と協力し、緊急対応能力の向上を計ること。
(5)ホームヘルパー、看護師、ケアマネジャー、保健師、医師等への防災教育を系統的に行い、災害時の連携の確立に努めること。
(6)災害時に、在宅支援サービスを受けている高齢者を受け入れる社会福祉施設の充実をはかること。当面、特別養護老人ホーム・リハポート明石などの災害時受け入れ能力を再点検し、拡充に努めること。
(7)AEDを事業所・商店、町会・自治会、マンション管理組合などが購入・リースで設置する場合、区が補助すること。

4.公共施設の防災対策強化のために
(1)災害時に重要なマンパワーとなる正規職員を増やし、災害時の対応改善をはかること。
(2)区内公共施設の自家発電能力の総点検をおこない抜本的に強化すること。
(3)指定管理者制度のもとで運営されている区内施設の防災マニュアルをたえず点検し、区の業務継続計画(BCP)と連動して施設職員が俊敏な行動をとれるようにすること。実践的な避難訓練の定期的な実行を義務付けること。
(4)公園等の改修時には、かまどベンチやマンホールトイレの設置など、災害時を想定した整備をすること。

5.防災訓練の向上のために
(1)住民の自主的な防災組織の育成をいっそう重視し、地域からの住民参加の防災まちづくりをすすめ、より実践的な防災訓練を行うこと。
(2)マンション・団地内のコミュニティーの促進、マンション住民と既存の住民防災組織との協力・共同をすすめるための支援を行うこと。
(3)あらかじめ準備されたプログラムに沿って、訓練会場で行なわれる「展示訓練」方式を見直し、実践的な防災訓練に充実改善すること。緊急時の様々な状況を想定した思考訓練によって、緊急時の判断能力、向上を図る「ロールプレイ型図上訓練」「ブラインド型訓練」を自治体職員、特に、管理職、対策本部要員に対して、定期的に取り組むこと。
(4)中央区総合防災訓練は中央区全域を対象とし、いっせい実施にすること。
(5)防災訓練へは障害者の参加を積極的に促し、日常的に地域と障害者の連携が図られるよう支援すること。
(6)発災時の初動体制確立のため、消防署・団などの専門機関と自治体、住民との連携を重視し、防災訓練もこの見地で行なうこと。
(7)発災時の職員の参集体制については、日頃から定期的に実践的な訓練を行い、体制の強化を図ること。
(8)防災訓練に参加している自衛隊は「軍隊」であることを忘れず、「区のお知らせ」などの刊行物での広報や防災訓練の場において、目立つような取り扱い方はしないこと。
(9)東京都の防災訓練において、防災の専門組織でない自衛隊が「主役」のようなあり方を改めるよう、都に強く要請すること。防災訓練への米軍の参加に反対すること。
(10)災害時における事業所と町会との連携強化のため、日常的な協議や共同の防災訓練などが行われるよう区が支援すること。

6.情報伝達の向上のために
(1)「緊急告知ラジオ」をさらに普及させるため、周知と頒布を継続すること。
(2)災害時の重要な情報源として、「中央エフエム」を積極的に活用すること。日常的に区民に親しんでもらえる番組づくりをすすめ、「災害時の情報収集は中央エフエムで」という意識が区民に広がるよう周知徹底すること。
(3)「中央エフエム」の「中央区からのお知らせ」や企画番組を充実させ、視聴者の利用促進をはかること。
(4)「中央エフエム」が、情報伝達能力を最大限発揮して、災害時をはじめ区民に必要な情報提供を機敏にできるよう、区は日頃から協議し、財政的支援を含む援助を行うこと。
(5)中央区防災行政無線屋外スピーカーは、聞き取りやすくなるよう改善に努めること。またデジタルサイネージ(電子看板)の普及をはかること。
(6)区内すべての保育施設に防災無線の配備を行うこと。
(7)防災拠点(23施設)だけでなく、副拠点(5施設)でも情報収集できるようポータブルテレビを配備すること。

7.耐震改修をすすめ、災害に強いまちづくりをすすめるために
(1)広域ライフライン施設が被災した場合、地域・地区ごとの自立性が確保できるよう、施設の多重化を図り、様々な代替施設の整備を図ること。水道断水への対策として、隅田川及び区内水路から消防水利、生活水を確保するための浄化装置の配備等の対策を強化すること。
(2)災害時の延焼防止、感電防止の面からも電線の地中化を進めること。
(3)新耐震基準以前の建築物の耐震診断を、区が責任を持って進めること。耐震改修工事の際は、区内の工務店や建築業者、建築士などと連携するとともに、区民負担の軽減を図ること。
(4)終了した中央区耐震促進協議会による区内すべての住宅等の建築物の耐震性総点検の結果が、耐震改修、補強工事等につながるよう努力すること。
(5)木造住宅の簡易耐震診断の体制を強化し、丁寧な指導援助で建築物の耐震診断から補強工事が着実に実施されるようにすること。
(6)東京都に対し、特定緊急輸送道路沿いではない区内の木造住宅にも耐震化助成が適用されるよう、助成対象の拡大を強く要請すること。
(7)耐震補強促進の立場からも、「月島ルール」による路地を生かしたまちづくりについて、小街区ごとに住民参加で協議の場をつくり、具体的なプランづくりを支援すること。
(8)百貨店、病院などの特定建築物の耐震補修を早急にすすめるため、耐震改修促進法を有効に機能させるよう、東京都と協力して対策を強化すること。そのためにも、まず実態を調査し、防災面に着目したデータを把握すること。国に対し、耐震改修促進法の対象でありながら、対策を怠っている企業を公表できるようにするなど、法律の改正を求めること。

8.マンションの防災対策拡充のために
(1)マンションごとの「震災時活動マニュアル」作成の重要性と緊急性を周知し援助すること。
(2)マンションの耐震改修をすすめるため、費用助成制度のPRと管理組合への支援を強化すること。
(3)高層ビル・マンションなどにおける長周期地震動の被害を最小におさえるとりくみをすすめること。
(4)エレベーターの閉じ込めを防止するP波感知型地震時管制運転装置の設置等の補助制度を新設するとともに、エレベーター停止に伴う救助・復旧対策の強化を図ること。
(5)閉じ込め事故を想定し、エレベーター内に防災キャビネット配備の指導を行い、導入する際は財政的な補助を行い支援すること。
(6)エレベーターの閉じ込めを防止するP波感知型地震時管制運転装置の設置等の補助制度を新設するとともに、エレベーター停止に伴う救助・復旧対策の強化を図ること。
(7)閉じ込め事故を想定し、エレベーター内に防災キャビネット配備の指導を行い、導入する際は財政的な補助を行い支援すること。
(8)「中央区防災対策優良マンション認定制度」の周知をはかり、全てのマンションが防災力向上のため、財政支援を受けられるようにすること。
(9)中央区防災行政無線屋外スピーカーが聞き取りにくい難視聴地域に対応するため、マンションの「緊急告知」放送システムの普及を積極的にすすめること。
(10)超高層マンションについては、感震ブレーカー設置を義務づけするなど地震火災対策を抜本的に強化すること。

9.津波・都市型水害対策の強化のために
(1)3連動地震等の大地震による津波の破壊力を前提とした防潮堤や港湾施設の緊急点検と対策などを最優先で行うこと。
(2)都市型水害対策強化のため、地下鉄、ビルの地下室などの点検と対応をはかること。また、地中に水が浸透するような道路構造を歩道・車道に広く普及させること。危険な地域についての情報を区民に十分提供すること。
(3)津波・高潮対策のための水門は、災害救援時にスムーズに開閉できるよう、中央区災害対策本部と東京都建設局江東治水事務所の連携を強化すること。
(4)津波・高潮発生時に住民が速やかに避難できるよう、「一時避難ビル」または「津波避難ビル」を指定するなどの体制を整備しておくこと。
(5)川沿い、海沿いに設定されている広域避難場所は、大津波や高潮被害を想定して再検討するよう都に求めること。
(6)区内各所に海抜数値を記載した看板等をさらに設置し、居住者・在勤者に情報を提供すること。

10.防犯対策の強化のために
(1)「安全で安心なまちづくりを推進する条例」の運用にあたっては、プライバシーの侵害、「相互監視」、行政への警察の介入などの事態を絶対にもたらさないように、たえず最大限の配慮をおこなうこと。
(2)犯罪の発生を予防するために、空き交番の解消やパトロール体制の充実に応じた人員の配置など防犯活動の強化を東京都・警視庁に求めること。今後の人口の増加が想定される勝どき5~6丁目・豊海町地区に交番を設置すること。

三、日本経済の主役である中小企業・商店の振興と地域経済の活性化のために

1.築地市場の現在地再整備を実現するために
(1)豊洲新市場予定地の土壌汚染対策が不十分であることは、区長と中央卸売市場長との間の「築地のまちづくりに関する合意」の前提が崩れているので「合意」を破棄し、築地市場現在地再整備を求めること。
(2)豊洲新市場にかんして、東京都に次のことを働きかけること①土壌汚染と土壌汚染浄化に関わるすべての情報と全データを公開し、第三者の参加でクロスチェックを行なうこと。②詳細な液状化調査をおこなうこと。③豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事にかかわる談合疑惑を徹底解明すること。④新市場内のカビの発生とカビへの汚染物質の付着について調査を求めること⑤移転中止を決断すること。
(3)農水省が認可の前提条件にしている「関係者の幅広い合意」「土壌が汚染されていないことの科学的な証明」がクリアできていないことをふまえ、豊洲新市場開設を農水省が認可しないよう求めること。
(4)築地市場の現施設について、東京都に対して早急に耐震診断、耐震補強、老朽化対策を早急に行うよう求めること。
(5)築地市場が開場しているもとでの環状2号線に関わる工事は中断するよう、都に求めること。

2.観光振興充実のために
(1)観光振興を抜本的に強化するため、区民部に「観光振興課」を独立させ、積極的に観光行政を推進すること。
(2)銀座・日本橋・築地などの伝統的商業地区や隅田川、日本橋川、朝潮運河などの水辺を観光資源として生かし、郷土資料館や歴史ボランティアの協力もえて、史跡なども活用した観光振興に力を注ぐこと。江戸文化の歴史の道として、「四十七士の道」などのルートの整備を行なうこと。
(3)下町の町並み保存に向けて、景観の調和を図りながら耐震化などができる財政支援を行うこと。
(4)江戸バス停留所に「まちかど案内版」を設置し、来街者が気楽に散策できるようにすること。
(5)観光案内標識や名所旧跡の案内板は、適宜、更新を行い、汚れや破損などについては修復すること。
(6)「中央区近代建築100選」に選出された建築物・町並みを、積極的に観光振興に生かし、維持・保存に努めること。
(7)観光情報センターが、地域経済の活性化につながるよう日々努力をすること。
(8)公衆浴場を貴重な観光資源及び福祉的役割を果たす施設として位置づけ、維持・拡充に努めること。

3.地域産業・中小企業振興のために
(1)2014年6月に成立した「小規模企業振興基本法」にもとづき、中小企業支援を具体化すること。
(2)商工業融資あっせん制度は、金融機関の貸し渋りをやめさせ、申し込みから貸し付けまでの期間も短縮するよう指導すること。
(3)区のあっ旋融資制度について、信用保証協会の保証の対象外とされた事業者に対する融資は、区が金融機関と損失契約を結ぶなど、融資の道を開くこと。
(4)地域経済を支える中小企業を支援するため、次のことを国に求めること。①金融庁が金融機関の中小企業融資実態の把握に努めること。②日本政策金融公庫など政府系金融機関による中小企業への資金供給の拡大を求めること。③地域と中小企業への資金供給、仕事づくり支援などについての金融機関の取り組みを評価する「地域金融活性化法」を制定すること。
(5)中小業者の自殺の要因の1つとなっている、中小企業融資における個人保証制度を廃止するよう国に求めること。
(6)景気悪化から中小企業をまもる緊急対策として国に次のことを求めること。①雇用の7割を支えている中小企業向け雇用調整助成金の抜本拡充をはかること。②貸し渋りをやめさせ、信用保証制度の改善で資金繰りを支えること。③違法な「下請け切り」をやめさせること。④中小企業が廃業・倒産しないために緊急に休業補償・直接支援をおこなうこと。⑤中小企業予算を1兆円に増額すること。⑥中小企業の法人税率の引き下げをはかること。⑦地域に密着した生活・福祉型公共事業で仕事と雇用を生み出すこと。
(7)大企業優先の税制から中小企業・自営業者を支援する税制に転換するため、国に次のことを求めること。①外形標準課税対象の拡充はやめること。②消費税の延納措置を認め、免税点を引き上げること。③法人税に累進制を導入し、中小企業の一定範囲内の所得については現行より税率を引き下げること。④事業用資産については、一定期間の事業承継を条件に、相続税の減免を認めること。⑤中小企業法人所得税の軽減税率を守り、減価償却の定率償却方式を維持すること。⑥繰越控除制度の縮小、中小企業経営者の給与所得控除の引き下げをしないこと。
(8)家族従業者の働き分を必要経費として認めない所得税法56条の廃止を国に求めること。
(9)地場産業である印刷製本出版関連業への「総合支援策」を具体化するため庁内にプロジェクトチームを作ること。
(10)伝統工芸を保存、継承し、後継者づくりの支援をすすめること。
(11)創業者支援の施策を強化すること。既存中小ビルの再生活用と結びつけ、SOHO改修補助事業を再開すること。印刷・ファッション業界に共通するデザインの分野で、若手デザイナーのSOHOの活用を支援し、人材や仕事の集積を図ること。
(12)地域経済の振興と消費者の生活に役立っている「共通買物券」(ハッピー買物券)は、購入限度額を10万円に戻し、発行額の増額や頒布回数を増やすなど、利便性を高めること。
(13)中小商店の後継者支援策の充実をはかること。
(14)製造業、建設業、印刷関連など分野別・業種別の「振興プラン」を策定し、それぞれの振興対策を行うこと。
(15)各分野・業種の中小企業、自営業者、家族従業者の悉皆調査を実施し、営業・生活・健康などの実態を把握して、施策の充実に活かすこと。

4.商店街の発展のために
(1)大型スーパーの出店については、無秩序な出店に規制をかけること。地元商店街を守り振興をはかることを基本に、区として、事前の協議を徹底させること。
(2)商店街活性化対策として、商店街の自主的取り組みの促進と支援を強化し、共同事業やICT化への支援をおこなうこと。
(3)「買い物弱者支援事業」を創設し、商店街などと協力して、客と荷物を乗せることができる送迎自転車や宅配サービスなどの支援にとりくむこと。
(4)商店街の空き店舗は、町の声を聞き、高齢者の休憩所や「赤ちゃんフラット」として利用するなど有効に活用して地域活性化に役立てる仕組みを導入すること。
(5)魅力ある商店街づくりや空き店舗等の活用のため様々な取り組みが出来るよう商店・地元消費者・来街者・大学など研究者・学生・子どもなどが参加するワークショップ開催を検討すること。
(6)商店街の歩道に自転車や看板類などが放置されたままにならないよう環境整備に努めること。銀座だけでなく、希望する商店街での「歩行者天国」実施を支援すること。

5.景気回復・地域経済の活性化のために
(1)消費を冷え込ませ、日本経済も財政も悪化させる、10%への消費税増税の中止を政府に強く求めること。
(2)大企業の内部留保を賃上げや非正規社員の正社員化、下請け企業への取引の適正化に使って、消費を活発にし、内需を増やす経済政策に改めるよう国に求めること。
(3)固定資産税、相続税の負担軽減と評価方法における収益還元方式の導入をおこない、住み続けられ、営業が続けられるようにすること。
(4)中央区の区内中小企業・業者向け官公需発注を増やすこと。物品関係や印刷物などの中小企業への発注率を金額で80%に引き上げること。⇒金額では達していない。
(5)中小企業同士のジョイントベンチャーを維持し、物品の分割・分離発注をすすめるなど、中小零細企業向け発注を拡大すること。一定額以上の区が購入する物品、備品についても、受注の共同化を維持・拡大し、中小零細企業の育成をはかること。
(6)再生可能エネルギー関連産業やオーダーメイドの福祉機器製造など様々な分野でのビジネスチャンス、社会的ニーズに応えた製品の研究・開発や販路開拓への異業種協力などへの支援を強めること。「新製品・新技術に関する助成金」制度を導入し、資金援助を強化すること。

6.雇用拡大・安定した雇用制度への改善のために
(1)中小企業への支援策を抜本的に拡充し、全国一律最低賃金制で時給1000円以上を実現するよう国に求めること。
(2)新卒者の就職活動を改善するために、学業と両立でき、学生の負担を軽減する就職活動ルールの策定や就職活動する学生への支援をおこなうとともに、新卒未就職者への職業訓練の提供などの対策強化を国に求めること。
(3)「企業が世界で一番活動しやすい国」をめざす安倍政権のもと、派遣労働や裁量労働制、フレックスタイム制などの拡大、限定正社員制度、ホワイトカラーエグゼンプション導入など労働法制のいっそうの規制緩和をやめさせ、残業時間の上限を法律で規制し、「過労死」を日本からなくすよう国に求めること。また「サービス残業」根絶法を制定し、無法なただ働きを一掃するよう国に求めること。
(4)区の入札指名参加資格に若者の雇用促進、特に正規雇用の促進を条件に加え、青年の雇用環境を改善すること。
(5)区として中央区内の青年の就労実態を把握すること。区主催の若年者合同就職面接会や就職ミニ面接会など企業の協力を得て若者の雇用支援策を拡充すること。中央区在住の若者の雇用につながるよう努力すること。
(6)商工会議所・工団連などと協力し、新卒者など求職者に中小企業の魅力を知らせる取り組みを強化し、中小企業への就労促進を図ること。
(8)日本橋問屋街の専門学校との共同事業などの経験を生かして、若者の雇用促進につながる事業に力をいれ、雇用拡大につながる施策を増やすこと。
(9)「緊急雇用創出事業」をさらに拡大するよう国に求めること。区独自に「緊急雇用対策基金」の創設など、予算措置をとり雇用創出事業をおこなうこと。
(10)失業した区民を対象にした「生活つなぎ資金」制度を創設すること。
(11)住民のくらしと地域経済の基盤を守るため、違法・脱法雇用、ブラック企業の根絶を図り、安定した雇用を拡大するよう企業・事業所に働きかけること。
(12)労働者の権利をわかりやすく説明するとともに、「日本国憲法」を併載した区独自の「ポケット労働法」を発行し、成人式での配布など、積極的に活用すること。普及のため、わかりやすいポスターやパンフレットなどを作成すること。
(13)「シルバーワーク中央」の雇用契約を含む高齢者雇用促進事業をさらに充実させ、高齢者の就業機会をさらに増やすこと。
(14)中央区勤労者サービス公社「レッツ中央」は、会員の声を生かし、事業内容をさらに充実させ、魅力あるものとすること。加入促進のため、各種刊行物の配布方法や活用方法に工夫を凝らすなどPRを強化すること。

7.消費者保護の充実強化をはかるために
(1)消費生活センターが消費者保護の中心的部署として機能できるよう、消費生活専門相談員を増員するとともに、長期的な安定した雇用条件に改善するなど体制の強化を図ること。
(2)消費者問題の相談窓口が消費生活センターであることを区民に広く周知する広報活動をさらに強化すること。
(3)区民から寄せられた食品安全問題、製品事故や悪質商法などの被害情報とともに、区の各部署が把握した情報を消費生活センターで一元化すること。
(4)区民の多重債務問題は消費生活センターで一元的に対応し、解決にあたる体制をつくること。そのため区の各部署や法律相談が把握した場合、相談者の同意のもと、すみやかに消費生活センターに連絡し、区民をセンターでの相談につなげる連携体制を確立すること。
(5)東京都消費生活条例の改正(2015年7月施行)をふまえ、「消費者被害の防止及び救済に関する条例(仮称)」の制定、「中央区消費者被害110番」制度の導入を図ること。
(6)「振り込め詐欺」「母さん助けて詐欺」「還付金詐欺」等の特殊詐欺の被害から区民を守るため、創意工夫し、被害情報を随時流し、常に注意を喚起すること。
(7)特殊詐欺撃退のため、警視庁や東京都が運用している自動通話録音機の無料貸し出し制度を、広く区民に周知し、拡充をすすめること。

四、区民のくらしと福祉、健康を守るために

1.高齢者のくらしと福祉充実のために
(1)老人福祉法の基本理念「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする(第2条)」に基づいて、福祉施策の充実をはかること。
(2)高齢者の社会参加の促進に大切な役割を発揮しているシルバーパス(所得が125万円以下の方は1,000円、125万円を超えると、2万510円)は、低所得者のパスの無料化を都に求めること。
(3)中間段階に新たに3,000円のパスをつくること、シルバーパスを磁気カードから電子カードに改良するよう都に求めること。
(4)「シルバー人材センター」に対して、「生活のために働く高齢者」の要望に応えられるよう労働条件等の改善や希望する期間十分に働けるよう指導すること。
(5)高齢者所在不明問題を教訓に、各部署が連携し、高齢者の生活実態をつかむ悉皆調査を行うこと。
(6)地域見守り事業の拡充をはかるため、ボランティアの活動支援を強化するとともに、「区のお知らせ」など区の刊行物配布をシルバー人材センターなどに委託し、見守り活動の規模を全地域に広げること。
(7)高齢者の安否確認のため、高齢者給食サービスや新聞配達・宅配便・郵便など宅配業者と協定し、緊急時の通報ネットワークや見守りシステムを拡充すること。緊急通報システムの普及をはかること。
(8)在宅で介護をしている家族の精神的・経済的負担の軽減を図るために「おとしより介護応援手当(現行月額2万円)」をさらに増額すること。
(9)「見守りキーホルダー」の周知をはかり普及に努めること。
(10)「敬老買物券」贈呈の年齢対象を70歳からに戻し、贈呈額を2012年度の水準に戻すこと。
(11)「通い慣れた銭湯に入りたい」という希望をもつ高齢者に対して、安全面に配慮しながらの付き添いや入浴手伝いなどを実施できるようにすること。(身体介護)       

2.高齢者施設の整備をすすめるために
(1)「相生の里」「人形町」「晴海苑」のグループホームは、所得に応じた家賃補助制度を導入し、高額な家賃の軽減策を講じること。低所得者向けの枠を確保すること。
(2)特養老人ホームの待機者(288人=2017年3月末)を一刻も早く解決するために、施設の増設で待機者ゼロをめざすことを区政の重点施策に位置づけること。小規模特養ホームのさらなる増設をはかること。要介護1・2でも、申し込みができる区独自の基準をつくること。
(3)第7期介護保険事業計画で、認知症ブループホームなどの整備の数値目標を引き上げること。グループホームの「サテライト型」の早期実現を国に要請し、整備をすすめること。
(4)小学校区ごとにグループホーム、デイサービスセンター、リハビリセンター、小規模多機能型居宅介護施設を設置し、身近な在宅サービス拠点と介護サービス基盤の整備に全力をあげること。
(5)リハポート明石や特養ホームなどの夜間体制などのスタッフの充実を図るよう区としても支援すること。
(6)重症患者向けの急性期病床と長期療養のための療養病床を強制的に減らす計画をやめるよう国に働きかけること。
(7)ケアハウスやサービス付高齢者向住宅の整備を計画的に進めること。低所得者も入居できる家賃水準とすること。
(8)区立住宅や、区施設の建て替えの際は、高齢者住宅・低所得者向け住宅を併設すること。
(9)人口急増が想定される晴海地域に、いきいき館(敬老館)を増設すること。

3.介護保険制度の改善のために
(1)「改正」介護保険法(5/16成立・地域包括システムの強化のための介護保険等の一部を改正する法律)による「現役並み所得」者の利用料3割化や40~64歳の保険料総報酬割導入による負担増は中止するよう国に求めること。
(2)高齢者、障害者両方に対応できる「共生型サービス」の創設については、サービスの質が担保され、高齢者、障害者の願いに適う事業となるようにすること。
(3)「『我が事・丸ごと』地域共生社会」構想の名で、地域住民の助け合いを行政サービスの代替として組み込み、地域福祉や社会保障に対する公的責任を後退させないこと。
(4)「介護度改善」によるインセンティブや軽度者、生活援護の切り捨てによる給付抑制は止めること。
(5)介護従事者の処遇改善をはかり、人員配置基準を見直して労働環境を改善し、人員不足を解消するよう国に求めるとともに、区でも支援を強化すること。
(6)国に対し、介護保険制度の調整交付金5%をきちんと自治体に交付するよう求めること。要支援者サービスの給付費を後期高齢者の人口の伸び率に抑え込むために、「新総合事業」の事業費に上限をつける方針をやめるよう求めること。
(7)サービス利用の申請の際、「チェックリスト」で「新総合事業」に誘導するのでなく、きちんと要介護認定を受けられるようにすること。ケアプランは、ケアマネジャーなど現場の専門家が、利用者の実態と家族の介護力に即して作成すること。
(8)軽度に認定されがちな「要介護」の認定制度を見直し、身体的な面だけでなく、高齢者の生活状況や介護の実態を総合的に判断すること。要介護度が低いとされる高齢者が施設利用から排除されないよう、要介護認定の改善や家族の状況を考慮し、施設利用可能となる改善をすすめること。また「介護者不在」や「住宅問題」などの問題を抱えている要介護1・2の認定者についても、施設入所を除外しないこと。
(9)要介護認定申請について、本来、介護サービスが必要とされるのに申請がない高齢者をなくすため、訪問活動などを積極的に行なうこと。
(10)訪問介護サービス及び介護予防訪問介護サービスを日中独居者も受けられるようにすること。区として「虹のサービス」の充実や利用料の助成などの生活支援をおこなうこと。
(11)介護施設を利用する際の居住費や食費の負担を軽減する「補足給付」(2015年8月打ち切り)を元に戻すよう国に求めるとともに、当面、区独自に、打ち切られた高齢者の「補足給付」を復活させ、負担の軽減を図ること。
(12)低所得者の介護保険利用料3%の減額制度を継続すること。
(13)軽度の要介護者に対する福祉用具貸与やホームヘルパーなどのサービス提供が削られることのないようにすること。福祉用具貸与の是非を判断する際には、本人の希望とともにケアマネジャー・主治医らの判断を最大限に尊重すること。
(14)要支援1、2の認定者への生活援助、通所介護サービスは、無資格者でもよいとされる「緩和型」の代替えサービスへの誘導をやめ、希望に応じて、改定前の水準を維持して実施すること。
(15)新総合事業で行われる生活支援の主体は専門職とし、「住民ボランティア」による生活支援は、ボランティアの特性を生かした補完的役割を果たす存在として育成すること。
(16)利用料が2割負担になった世帯(2015年8月から実施、合計所得金額160万以上)へ区独自の軽減制度を作り、1割に戻すこと。
(17)行政が責任をもって地域住民と協力しあい、高齢者を地域でささえる、安心のネットワークをつくるため、区と「おとしより相談センター」(地域包括支援センター)が地域の高齢者の実態を把握し、介護保険や民間事業所では対応できない人を区のケースワーカーが直接救済する体制を強化すること。
(18)「おとしより相談センター」の人員体制を強化し、見守りネットワークや高齢者虐待対策を充実させ、地域における高齢者の生活を総合的に支える役割を発揮できる拠点として発展させること。
(19)「おとしより相談センター」の存在を知らない高齢者やその家族に、認知度を高める努力をすること。
(20)介護福祉士資格取得を支援すること。

4.保育の充実のために
(1)「子ども・子育て支援新制度」のもとでも、子どもの権利保障を基本に、格差のない保育・教育を実施すること。児童福祉法24条1項の区市町村の保育実施責任を最大限発揮すること。現行保育水準を後退させず、維持・拡充をはかること。
(2)中間年の見直しが行われた子ども・子育て支援事業計画の実施にあたっては、量の見込みと確保策をたえず点検し、量とともに質の確保を重視すること。
(3)厚労省の保育指針改定により、「乳幼児の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)」に子どもに当てはめ評価するような画一的な保育を行うことは止めること。指針に盛り込まれた「国旗・国歌に親しむ」を子どもに強制するような「国民主権」に反する保育を現場に持ち込まないこと。
(4)都市部における認可保育園建設の課題である土地の確保のため、国有地の無償提供や、土地確保のための国庫助成制度の緊急創設を求めること。公立保育所に対する国の新たな財政支援制度を創設することや、保育所の建設や分園の設置・改修への補助、運営費の国庫負担分の復活を求めること。
(5)保育所待機児童をすみやかにゼロにするため、園庭のある区立認可保育所を基本に整備すること。民間企業の参入で、保育環境や保育条件に格差を生まないようすること。
(6)都有地・国有地の活用などを関係機関と協議を進め、晴海の交通機動隊跡地や中央警察署跡地の活用を早期にはかること。区立保育園の分園方式の具体化を図ること。
(7)保育所の入所認定は、保護者の就労状況だけでなく、子どもにとっての保育の必要性を基本に行うこと。
(8)認定こども園は保育所型を基本とすること。
(9)保育所の保育室面積や保育士配置基準の最低基準を改善するよう国に求めるとともに、区立保育所の整備は質の高い水準をめざすこと。
(10)指定管理者のもとで働く保育者の労働条件や人員配置、研修状況などをきちんと把握し、適切な指導を行い、保育の質を向上させるよう努めること。
(11)地域型保育事業や保育施設における乳幼児突然死症候群(SIDS)などの事故防止策のための研修会を増やすとともに、区との連携を密にし、保育の質の確保・向上を図ること。
(12)アレルギー食の対応など、調理師・栄養士の負担が増大している現状に対応するため、保育園に、調理師・栄養士を適切に配置すること。
(13)病児・病後保育の受け入れ枠の拡大、時間延長、土日預かりなど拡充をはかること。特に、現在対象となっていない7ヶ月未満の児童の病児・病後保育について緊急に対策を講じること。
(14)認証保育所の入園料補助をおこなうこと。
(15)障害児保育を充実させるため、より多くの保育者が、幅広い障害に対しての研修に参加出来るよう財政支援を充実させること。
(16)認可外のすべての保育施設について、区が主体的に東京都と連携して、適切な保育がなされているか巡回指導を強化すること。
(17)保育施設は「企業主導型保育所」に頼らず、保育の質がきちんと確保された「認可保育所」ですすめること。
(18)区内の全保育施設にAEDを配備すること。
(19)保育士の処遇改善のために、全産業平均と比べて月約10万円の賃金格差の解消にむけ当面月額5万円を引き上げる措置を政府に求め、保育士不足を解消できるようにすること。
(20)ファミリーサポートセンター事業は、マンション内での周知方法を工夫するなど、提供会員を増やすよう努力すること。

5.子どもの健やかな成長を保障する児童館運営のために
(1)学童保育の待機児を「プレディ」で解消せずに、児童館を増設して学童クラブを実施すること。その際、外遊びのできる広場を最大限に確保すること。特に住民要望の強い豊海地域に児童館の増設をすすめること。
(2)児童館でおこなわれている乳幼児クラブをいっそう充実させること。
(3)学童保育の有料化は中止し、無料に戻すこと。
(4)児童館・学童保育は、直営に戻すこと。

6.子どもの貧困打開など子育て支援の充実のために
(1)国連・子どもの権利条約に基づき、すべての子どもが差別されることなく、命と健康、文化、教育による全面的発達と意見表明、社会参加等を権利として保障する社会をめざし、仕事と子育ての両立、経済的負担の軽減、「子どもの貧困」の解決など、総合的な子育て支援策に全力をあげること。
(2)ひとり親家庭等への児童育成手当の増額をはかること。
(3)18歳までの医療費無料化を、区として早期に実施すること。また国の制度として実施するよう求めること。さらに、医療費無料化を実施している自治体へのペナルティの廃止を強く求めること。
(4)子育て世代の経済的負担の軽減を図るため、出産支援祝品(タクシー利用券)は3万円に戻し、新生児誕生祝品(区内共通買物券)は増額すること。
(5)都立小児病院を拡充し、産科、小児医療体制を抜本的に強化するよう東京都に求めるとともに、区内で出産できる施設を計画的に整備すること。
(6)赤ちゃん天国は、利用者の声やニーズを聞き、たえず改善をはかること。保育士経験のある職員を適切に配置し、保護者に適切なアドバイス等できるようにすること。
(7)無料か低額で利用できる子ども食堂や、食事だけでなく遊びや学習などもできる"居場所"づくりを行うボランティアやNPOなどに、区の施設などを提供するなど積極的に協力し、財政支援をすすめること。

7.子どもの事故、児童虐待防止のために
(1)子どもの事故防止のための「サーベイランスシステム」の有効な運用をすすめるため、区の「事故情報一元化」体制を早急に確立すること。
(2)子どもの虐待を防止するため「子ども家庭支援センター」が中心となって、地域・医療・保育・学校などの各機関が協力し、「虐待」の早期発見に努めるとともに、保護者への適切な対応をはかること。
(3)「要保護児童対策地域協議会」を拡充し、迅速に対応できるようにすること。
(4)子どもの虐待の早期発見・早期対応の促進のため、東京都に対して、児童相談所の体制を強化し、一時保護所の定員をふやすよう求めること。
(5)児童相談事業が区に移管された場合、子どもの事故や虐待防止、貧困問題の解決のために、相談事業や一時保護の拡充に力を尽くすこと。

8.障害者・障害児の生活と権利を守る総合的な福祉制度を確立するために
(1)障害者が安心してくらせるよう、国連の「障害者権利条約」が生かされる中央区をめざすこと。
(2)「障害者総合支援法」の「応益負担」制度をあらため、速やかに無料化するとともに、施設・在宅とも安心してサービスを受けられるようにすること。支給審査は、障害者の生活実態を反映した認定を行い、福祉施設・作業所での工賃を大幅に引き上げるなどの改善をすすめえること。
(3)地域生活支援事業は、①生活の場、働く場の確保および充実をはかること。②社会復帰を支える地域ネットワークづくりをすすめること。③デイケアやグループホームの取り組みをさらにすすめること。④社会的偏見をなくすため、精神保健思想の普及・啓蒙をはかること。⑤基幹支援相談センターなど相談窓口の時間延長、休日対応など、相談機能の充実をはかること。   
(4)障害者グループホームには低所得者向けの枠を設け、一定数の部屋を確保すること。職員の待遇を改善し、人員配置を引き上げ、夜間支援体制も強化して、手厚い支援が必要な人が地域で安心して暮らせるようにすること。
(5)知的障害者支援施設の入所者が、退所後に地域で生活していくためのグループホームなどの整備をさらにすすめること。
(6)障害児者のコミュニケーションや日常生活を支えているホームヘルパーや、別居親族のヘルパー等が病院内での介護ができるよう、医療と福祉の垣根をはずし、実態に即した支援がおこなえるようにすること。
(7)保護者の子育てやレスパイトを保障するための、障害児のショートステイやホームヘルプに対応できる施設や事業所を増やすこと。
(8)「中央区障害者就労支援センター」の周知を高め、就労に結びつける支援を強化すること。企業に対し法定雇用率の厳守を徹底し、雇用率を引き上げるよう求めること。
(9)障害者生活支援のために共通買物券を支給すること。
(10)福祉センターに、障害者団体がいつでも自由に使用でき、交流活動や相談活動などに利用できる部屋を確保すること。
(11)精神障害者地域活動支援センター「ポケット中央」は、利用者にとって使い勝手がよく安心できる場となるよう絶えず見直しをはかること。
(12)視覚障害者のためのガイドヘルパー派遣制度は、派遣回数をふやすこと。また福祉センターだけでなく区役所などの公的施設に音声誘導装置(メロディーガイド)を設置すること。音声電子手帳を日常生活用具として給付すること。
(13)聴覚障害者のため、公的施設に磁気ループの普及をすすめること。
(14)横断歩道を渡るときの安全性を高めるため、残り時間など音声によるガイド案内付きの信号機を拡充すること。
(15)障害者団体が情報発信として中央エフエムを活用することを、区はさらに支援すること。

9、生活困窮者への援護等の充実のために
(1)生活保護費を増額するよう国に求めること。「老齢加算」を復活し、母子加算は廃止をしないよう国に強く求めること。当面、収入をおぎなうために区独自の施策を拡充すること。
(2)「生活保護以外の公的扶助が弱すぎる」という現行制度の弱点をただし、雇用保険の拡充、失業者に対する生活扶助制度の確立、職業訓練と再就職支援の強化、失業者を支援する制度の総合的な充実を推進すること。
(3)生活困窮者が増加する状況のもと、生活保護「適正化」の名による申請不受理などの受給制限をしないこと。また生活保護受給者が増えている現状に対応するため、ケースワーカーを拡充すること。
(4)親族による扶養は義務ではないことを明確にし、受給者に対する不当な調査や過度の「就労指導」を行なわないこと。
(5)生活保護受給者の住宅探しは本人任せではなく、区が責任を持って住居費の基準に合った住宅を探すこと。その際、脱法ハウスを見逃すことのないよう注意を徹底すること。
(6)「熱中症」対策のため、生活保護世帯に夏期加算を新設すること。エアコン設置費用や電気代の補助を行うこと。歳末見舞金(2017年廃止予定)および夏期見舞金(2018年廃止予定)は継続し、さらに増額すること。
(7)生活保護受給者が医療を受けやすくするため、医療券に代わる医療証制度を実施すること。
(8)生活保護基準以下で暮らす人たちの内どれだけ保護を受けているか、「生活保護の捕捉率」の調査を区独自に行い、貧困の実態を把握すること。対象者には生活保護の適用など必要な支援に結びつけること。
(9)現行の応急小口資金貸付制度は、総貸付枠を増額すること。緊急時に対応できる よう、貸付条件を緩和し、借りやすくすること。
(10)ホームレス対策は、「住所不定」を理由に、生活保護の適用から排除することがないようにすること。路上生活者の自立支援センターの受入数を拡大し、公的事業を臨時的に起こすなど、職業経験にふさわしい就労の支援をすすめ、自立支援を強化すること。区役所の閉館時にも対応可能な緊急相談窓口を設けること。
(11)民生委員は、3地域の人口に応じて適正なものになるよう民生委員の意見・要望を聞くこと。都の「民生委員協力員制度」を活用し、さらに区独自の「協力員」も増やすなど負担軽減をはかること。

五、保健医療・衛生活動の充実をはかるために

1.保健医療の充実で区民の健康を守るために
(1)病気の早期発見、早期治療のため健康診断の内容を継続させるとともに、エコー検査など健診項目を拡充すること。
(2)公費によるがん検診をさらに拡充し、有料化はおこなわないこと。受診率向上のため、受診申込み方法、検診期間などについて改善すること。乳がん検診における触診を復活させるとともにマンモグラフィー検診の利用向上をはかること。すい臓がんを新たに検診項目に加えること。胃がん検診では胃カメラ検査も無料で行えるようにすること。
(3)骨密度測定を40歳以上の全員が行えるようにすること。
(4)HIV感染対策について相談・検査に対応できるよう専門の保健師など職員の増員をはかること。また、HIV感染防止のため、万全の血液対策の確立をはかることや、感染者に対する最高水準の医療と生活保障を講じること。
(5)子宮頸がんワクチン接種や性感染症、HIV感染対策として、小、中、高校生に「生と性」についての学習が深められるよう啓発活動をすすめること。
(6)認知症の早期の発見・診断から、初期の相談と家族への支援、終末期のケア・看取りまで、切れ目なく治療と支援を行う、医療・保健・福祉の連携体制の構築をすすめること。
(7)新型インフルエンザに対する医療体制を強化し、適切な情報提供や広報を行うとともに、安全なワクチン接種体制の確立や、ワクチンの公費負担、予防や治療にかかる医療費の負担軽減をはかること。さらに重症化が予想される人への早期治療を行う体制を確立し、重症者のためのベッドや人工呼吸器などの準備をすすめるとともに、一般の外来医療を担っている診療所などが新型インフルエンザに対応できるよう、区として資器材の支援など万全の支援体制をとること。
(8)季節性インフルエンザの予防接種料の助成については、子どもも含め希望者全員を対象にし、自己負担の軽減をはかること。近年増加傾向の結核予防に力を注ぐこと。また、現在、自己負担なしで実施している75歳以上の「高齢者のインフルエンザ等予防接種」を65歳以上に引き下げること。
(9)肺炎球菌感染症の定期予防接種及び任意予防接種費用を全額公費負担とすること。
(10)保健所の重要な業務に「禁煙教育指導」を位置づけ、積極的に取り組むこと。特に、中・高校生など、若年層にも広がっている飲酒、喫煙を防ぐため、教育機関とも連携をとって指導、PRにあたること。
(11)禁煙外来受診に対する助成制度の周知を強化して受診を促し、禁煙を推進すること。
(12)区内百貨店・商業団体・料飲業団体と協議し、不特定多数が利用する喫茶店・レストラン等の民間商業施設での無煙化促進をはかること。禁煙にするとむしろ収益が上がるという調査結果などを積極的に周知すること。
(13)「禁煙・分煙ステッカー」は、飲料組合等関係団体と協議しながらさらなる配布・普及を図ること。
(14)歩きたばこ・ポイ捨て禁止の徹底をはかり、公園内の灰皿は撤去し、禁煙とすること。たばこ販売店やコンビニ前での喫煙はマナーの徹底をはかること。
(15)子どもを含む区民の将来にわたっての健康を守るため、食育の一環として、遺伝子組み換え食物・食品添加物についての学習の場を提供し、啓蒙をはかること。
(16)自殺防止対策の強化を図るため、「こころといのちの相談・支援」窓口など設置すること。窓口にはゲートキーパーを配置し、保健師や関係部署と連携して対応できるよう中央区の自殺防止総合対策に取り組む体制をつくること。
(17)全職員がゲートキーパー研修を受け、日常的な業務のなかで区民の自殺の兆候をつかみ、迅速に対応できるようにすること。職員の業務を通じての経験をゲートキーパー研修に反映させること。
(18)「うつ病」患者の早期発見のため、臨床心理士のストレス相談や区内開業医・精神科医と協力した取り組みなどにとりくむこと。
(19)うつ病患者にアルコール依存症など飲酒状態に問題がある割合が高いことをふまえ、保健センターなどでの精神保健福祉相談時には飲酒の状況を必ず調べ、指導し、自殺リスク軽減をはかること。
(20)石綿健康被害救済法を抜本的に改正し、アスベスト使用を全面禁止するとともに、被害者の掘り起こし、製造企業の責任による基金創設など、被害者の救済と根絶の対応を、国に強く求めること。また、区独自に、救済・予防策を進めること。
(21)区民で、以前にアスベストを吸い込んだ可能性のある建設労働者や退職者、住民などに対して、肺がんや中皮腫の早期発見のための検診、労災認定、補償を迅速化し、拡充することを国に強く求めること。あわせて、区の相談窓口でできる限りの対応を行なうこと。
(22)アスベストを原因物質とする中皮腫などの発症実態を明らかにし、死因データベースを整備すること。
(23)区民の肺がん死亡患者については、レントゲン再読影をおこなうなど、原因の究明を行い、救済を広げること。

2.放射能から子どもと区民の命と健康を守るために
(1)人類の生存と相いれない原子力発電所は「即時廃炉」を国に求めること。
(2)次々と発覚する高濃度汚染水の漏れや地下水への浸透、海中への流出など、ますます深刻化する福島第1原発事故の現状を直視し、放射能から区民の命を守るために、全ての原発の再稼働中止を国に求めること。
(3)国の「安全基準」にとらわれず、子どもの放射線被ばくゼロをめざすこと。
(4)通学路の側溝や植栽などホットスポットとなりやすい場所や、乳幼児や子どもが多く利用する場所などで緻密な継続的測定を行いその結果を公表すること。また基準値内でも、正常値より高く測定された地域は除染すること。
(5)都立施設や公園における放射線測定を継続的に行うことを都に求めること。
(6)区内の全学校、全保育所に簡易放射能測定器を配備すること。

3.区民の命をまもる国民健康保険のために
(1)国民健康保険の国庫負担割合を抜本的に引き上げ、医療保険財政の立て直しと保険料軽減を国に求めること。
(2)来年度からの国民健康保険制度の広域化は行わないよう国に求めること。
(3)広域化が実施され、東京都が国民健康保険の運営主体となった場合は、都が負担軽減のための財政支援をおこなうよう区長会からの要望を強め、区市町村で協力して国保料を一人1万円引き下げること。子どもの均等割の減免制度を抜本的に拡充すること。
(4)国保料が高すぎて滞納者が増え続けている事態を打開するため、保険料の減免制度を拡充するとともに、保険料の引き下げをおこなうこと。
(5)保険料滞納者に対する保険証の取り上げを止め、生活困窮者が医療を受けられない事態をなくすこと。新型インフルエンザなど非常時の対応として、「資格証明書」の世帯に対し少なくとも1年間有効の「短期保険証」を発行し、重症化や感染拡大を防ぐよう努めること。
(6)国民健康保険料などの滞納世帯については、差し押さえなど行わず、生活再建を含め親身に対応すること。
(7)「紹介状なし」で大病院を受診する患者に対する追加負担を止めるよう国に求めること。
(8)事業の休廃止や失業等により著しく収入が減少した時などに利用できる窓口負担の減免制度(国保法44条)の周知をはかること。
(9)国民健康保険加入の小規模・家族経営商店などでは、病気で仕事を休んでも傷病手当が支給されていないため、国保での傷病手当支給を実施すること。
(10)70~74歳の医療の窓口負担を1割に戻すこと。

4.年齢で差別する後期高齢者医療制度の改善のために
(1)75歳以上の高齢者だけを別立てにして差別医療に囲い込む後期高齢者医療制度を廃止し、年齢でも経済的にも地域的にも差別されない、国民全てが安心できる医療制度をつくるよう国に求めること。
(2)後期高齢者医療保険料は引き下げて負担軽減をはかり、年金からの特別徴収をやめ、納付制にすること。
(3)後期高齢者医療保険料の「特例軽減」の廃止で、「7割減額」になると、現在、「8・5割減額」の適用者の保険料は2倍に、年収が80万円以下の「9割減額」を受けている人の負担は3倍に跳ね上がることになるため、低所得・低年金の高齢者を狙い撃ちにした負担増は中止するよう国に求めること。収入の認定は世帯単位ではなく個人単位とすること。当面、区独自に負担軽減策をはかること。
(4)医療機関の窓口負担を軽減し、75歳以上の高齢者の医療費を無料化するよう国に求めること。当面、区独自に75歳以上の窓口負担無料化を実施すること。

5.年金制度の充実のために
(1)無年金者をなくすため消費税によらない「最低保障年金制度」を早急につくり、当面、最低月額5万円保障し、その上に支払った保険料に応じた額を上乗せするよう国に求めること。
(2)無年金者数とその生活状況の把握に努め、必要な高齢者には生活保護制度を適用して生活の安定をはかること。
(3)国民年金の満額を現行の月額6万4941円から8万3000円に引き上げ、生活できる年金に近づけること。
(4)物価も賃金も上がったときに年金額を抑制する「マクロ経済スライド」はすみやかに撤回するよう国に求めること。

六、環境を守るまちづくりをすすめるために

1.地球温暖化・ヒートアイランド現象に歯止めをかけるために
(1)増え続けているCO2を削減するため、「中央区環境行動計画」をより積極的な数値目標に改め、目標達成のための具体化をはかる全庁的なとりくみを強化すること。
(2)区内民間事業者などのCO2発生量を把握し、CO2削減の指導を強化すること。区内事業所と削減協定を結ぶ制度をつくり、短期・中期の目標期限を定めて、中央区への報告義務などを盛り込むこと。
(3)区内の公共施設・民間事業所・家庭において、風力・太陽光発電など自然エネルギーの利用拡大の数値目標をたて、利用を促進すること。
(4)ヒートアイランド現象を把握するため、区内の植物・昆虫などの生態変化を観測・調査すること。
(5)河川・雨水・地下水を活用した自動散水システムの促進をはかること。
(6)遮熱性舗装道路の普及をさらに図ること。
(7)家庭でのLED照明購入費助成や太陽光発電機購入費助成の増額など家庭への補助制度を拡充すること。

2.公園・緑地の整備・拡大をすすめ、緑ゆたかなまちをつくるために
(1)緑ゆたかなまちづくりをすすめるために、「花の都中央区宣言」にふさわしい「中央区みどりの条例」(仮称)を制定し、区の姿勢を明確にすること。
(2)「中央区緑の基本計画」に掲げられた平成30年度までに緑被率を12%に高めるという数値目標を達成するため、壁面緑化、植林、公園用地確保等に努めること。
(3)緑化基準の設定と緑化事業の推進、緑地保全の奨励制度、屋上・壁面緑化促進、水辺・公園・街路樹など、身近に緑を増やし緑視率を高めること。
(4)区施設の壁面緑化を美しく保つよう、保守、点検に務めること。
(5)公園は、幼児・児童の将来にわたる健康を考慮し、禁煙とすること。
(6)「中央区の森」事業は、地元の協力を得て、効果的な展開を図ること。木材の有効活用をはかるため、「ウッドスタート(木育)」などの施策を展開すること。
(7)月島川の親水護岸は、不法係留船の整理をすすめ、水に親しめるように再整備すること。また、浮遊物の処理・清掃など、衛生上の対策をすすめ、手洗い場を増設すること。
(8)公衆トイレには、利用者の事故を想定し、緊急通報装置を設置すること。
(9)花と苗木の即売会は内容を充実させ、苗木の無料配布を復活させること。
(10)区民に緑化への意識を高めるためにも、誕生記念植物の自宅配布を復活させること。
(11)ポケットパークやプレイパーク(遊具を置かない公園)等を積極的に設置すること。
(12)子どもたちが裸足で走り回れる芝生の公園の整備をすすめること。
(13)浜町公園やスポーツセンター利用者向けの「バイク置場」が、適正に利用されるよう管理を行うこと。

3.公害・大気汚染対策の強化のために
(1)「中央区環境基本条例」(仮称)を制定し、区独自に強力な環境保全対策を講じること。
(2)中央区役所別館に設置している環境測定室を、日本橋・月島出張所にも設置し、区の環境保全対策を強化すること。
(3)PM2・5(微小粒子状物質)の測定体制を区として整備すること。
(4)アセスメント技術指針にPM2・5を取り込み、アセスメント実施済みの道路計画も追加的にアセスメントを実施するとともに、固定発生源や移動発生源に対して、抜本的な対策と規制強化を国に求めること。
(5)最新の科学的知見をふまえたPM2・5の環境基準の見直しと改定を国に求めること。
(6)勝どき4丁目のアンモニア流出事件(2010年7月6日)を教訓に、危険物が使用されてきた建築物の解体に当たっては、関係機関が協力しその安全性を確認し、住民への説明と合意を得て、実施すること。
(7)建築物のデータベース等も活用し、すべての建築物のアスベスト使用可能性の事前把握を行い、除去対策を指導すること。また、アスベスト使用建築物の解体工事時には現場立ち入り調査で監視し、対策指導を強化すること。
(8)「中央区建築物の解体工事の事前周知に関する指導要綱」が想定しているすべての解体工事の把握を確実なものとするため、事業者への強力な指導と、区民などからの情報収集など区の監視体制をいっそう強化すること。

4.資源リサイクルの推進のために
(1)「中央区リサイクル都市づくりに関する条例」(仮称)を制定し、ごみの発生抑制・減量・リサイクル事業を総合的に推進して、焼却処理方式に依存しないゴミ処理システムを最終目標とした資源循環型社会への転換を目指すこと。
(2)ごみ焼却量を減らすため、「家庭生ごみ」の全量再資源化を目標にかかげ、計画的に取り組むこと。家庭ごみの有料化は行わないこと。
(3)「拡大生産者責任制度」のルールに基づき、現行のリサイクルシステムを抜本的に見直し、企業の責任を明確にし、負担を求めること。
(4)燃やすゴミの回収は、午前中に終了するようにすること。
(5)大量にごみを燃やすことを前提とするサーマルリサイクルは見直すこと。
(6)地域給湯システム導入は、「安定的な温水の供給のため」として、ごみ焼却量を増加させないように十分に対策をたてること。

七、超高層ビル中心の「都市再生」から、「住民本位」のまちづくりに転換するために

1.まちづくりの視点を効率優先から住民本位へと転換するために
(1)狭隘な地域に過度の人口集中を呼び込み、周辺地域に多大な負荷をもたらすタワー型超高層ビルおよび超高層マンション建設を中心とする大規模開発優先のまちづくりを転換し、高齢者・乳幼児などの区民施設の充実や、活気とにぎわいとともに「落ち着いたまちづくり」をすすめることを、徹底した住民参加でおこなうこと。
(2)再開発事業等における区道の廃止はやめ、路地空間の魅力を守り、日照、通風を大切にするまちづくりに転換すること。
(3)超高層ビルの風害対策として、植栽以外にも根本的な解決となる対策を研究し、すすめること。
(4)「中央区まちづくり基本条例」を改訂し、再開発事業者に、計画当初の段階から情報を公開させ、住民や関係者の意見を事業に反映させるなどして、無秩序なビル・マンション建設の規制とコントロールができるようにすること。
(5)「まちづくりマスタープラン」「地区計画」は、上位計画にすべてしばられることなく住民の立場に立って策定し、ハード面だけでなく経済的及び社会的側面も考慮した「マスタープラン」を作成すること。
(6)「耐震偽装」の再発を防止するため、建築審査担当部門の増員・職員への専門的研修の実施や二十三区・東京都・国との連携を強化し、自治体の建築確認体制を早急に強化するなど抜本的改革を図ること。
(7)総合設計制度は、面積・規模のいかんにかかわらず地元自治体で審査、決定できるように、東京都と協議し、事務事業の移管をはかること。
(8)現行環境アセスメントの対象外の事業を対象に、地域に影響をあたえる社会的経済的要因も加えた区独自の「環境アセスメント条例」(仮称)の制定を急ぎ、開発事業を自治体と住民の立場からチェックできるようにすること。
(9)建設現場の角地での接触事故や衝突事故を防ぐため、見通しを良くするための透明コーナー仮囲い設置を指導要綱で徹底すること。
(10)選手村の大規模な工事における地域住民への影響を最小限にするよう求めること。また通学路などの安全性を十分に確保すること。
(11)選手村の宿泊施設は、家賃の安い都営住宅や障害者のグループホーム、ケアホームなどへ転用できるよう都に申し入れること。
(12)「銀座ルール」における大規模開発での高さ制限を緩和する特例は、「文化等の維持継承に寄与する」という要件を厳格に適用し、特区による開発が「銀座ルール」の理念に反しないよう厳格な指導を行なうこと。
(13)地元中小地権者の再生が置き去りにならないよう、「協議型まちづくり(デザイン会議)」に伴う協議組織の構成は中小地権者の声が反映できるものにすること。
(14)東京駅八重洲地区の再開発は、超高層建築物中心ではなく八重洲の歴史や文化を生かしたまちづくりにすること。
(15)城東小学校を超高層オフィスビル内に設置する計画は、教育環境上問題なので、今からでも見直すこと。

2.地域資源を生かしたまちづくりのために
(1)低層の居住地がもっている日照・通風の良好さや路地を活かした景観を再評価し、安定した日常生活圏の居住環境を保全するとともに、地区計画で詳細化をすすめること。
(2)「月島ルール」による路地を生かしたまちづくりについて、小街区ごとに住民参加で協議の場をつくること。その際、民間の協力も得て具体的なプランづくりを支援すること。
(3)木造建築および、リフォーム・リノベーションにおける様々な最新の手法を研究し、中低層のまちづくりにいかすこと。
(4)「住民が主人公」となる「共同出資型」や「コーポラティブ方式」による再開発を研究し、まちづくりに生かすこと。
(5)国も検討を始めている、老朽家屋や空き家の増加による「スポンジ化」対策に本格的に取り組むこと。
(6)「スポンジ化」対策として、生活困窮者の居住支援の観点から空き家の活用をはかれるようにすること。
(7)既存中小ビルを、地域の特性に見合った住宅・商店も併設するなど、さまざまな魅力ある中小ビルに改修する再生活用を支援すること。再生活用の一環として「SOHO」事業の推進を図ること。
(8)2004年に制定された景観法の理念をまちづくりに活かすこと。そのために、早期に「中央区景観まちづくり条例」(仮称)を制定するとともに、「景観まちづくり審議会」(仮称)を設置し、積極的に景観の保全・形成をすすめること。
(9)「危機遺産」として認定された築地地域の建物を保存できるよう支援し、地域資源として町並みをいかすこと

3.住み続けられる住宅対策を進めるために
(1)区の借り上げ住宅を増やし、高齢者や低所得者・中所得者が負担可能な家賃設定とすること。
(2)低家賃で良質の民間賃貸住宅の供給対策を強化すること。
(3)「中央区マンション管理条例」に基づく区民への援助を強化すること。
(4)「マンション管理の適正化の推進に関する法律」と「マンション管理適正化指針」及び「マンション標準管理規約」をマンション住民に知らせる実効ある方法を講ずること。
(5)マンションの実態調査、情報・資料の提供、マンションの相談窓口にマンション管理士の資格を有する人材を配置し、「相談窓口」のいっそうの充実を図ること。
(6)マンションの変電施設の使用料を東京電力が管理組合に支払うよう指導すること。
(7)マンション住民と町会の関係がスムーズになるよう区の役割を明確にすること。
(8)UR賃貸住宅の「民営化」を許さず、公共住宅として守り、住み続けられる家賃にするため、家賃は近傍同種家賃制度を改め、負担能力を考慮したものにするよう、国やURに申し入れること。
(9)集会室、ゴミ置き場、遊び場など、公共性の高い施設の固定資産税の減免をおこなうよう国に申し入れること。
(10)高齢者や低所得者・中所得者の民間賃貸住宅への住み替えに対する「家賃助成制度」を創設すること。
(11)「高齢者向け優良賃貸住宅」を拡充するため、これまで以上の積極的な事業者募集を行うこと。
(12)区民が住宅リフォームや改修工事を区内業者で施工する場合、工事費の一部を補助する「住宅リフォーム制度」を創設し、区内業者の仕事づくりを支援すること。
(13)区民住宅管理への指定管理者制度導入は止めること。

八、交通政策を自動車中心から歩行者中心に転換し、命と環境を守るまちづくりをはかるために

1.自動車中心の交通政策の転換をはかるために
(1)晴海通りの歩行環境を改善するため、晴海1丁目8番先と晴海3丁目1番先を結ぶ横断歩道を早期に新設すること。
(2)日本橋上空の高速道路は、莫大な建設費のかかる「地下化」でなく、都心への自動車交通量の集中を抑制し「車社会」からの転換を図るため、高速道路「撤去」の方向で関係者と協議を進めること。
(3)国・東京都と協力し交通需要マネジメントで自動車の総量規制を行うこと。BRT、LRT(新型路面電車)、地下鉄等の大量公共輸送機関の拡充や低公害バスの優先・専用レーンの抜本的拡大などで、自動車交通に過度に依存する交通体系をあらためること。
(4)自動車交通量削減の具体策をつくるため、区内事業所・企業、住民代表が参加して、低公害車普及対策、事業所・企業ごとの自動車使用量削減対策などを具体的に協議し、目標を決め、その達成状況を定期的にチェックするための「自動車交通量削減対策協議会」(仮称)を設置すること。
(5)毎年改定される「交通安全実施計画」に、区内事業所に対する自動車使用量削減への協力を加えること。
(6)交通渋滞の著しい幹線道路のバスの運行を確保するため、バス専用レーンを延長すること。特に、勝どき2丁目交差点から銀座までの専用レーンの延長は、関係機関と協議し早期に実現をはかること。
(7)自動2輪用の駐車場は、区営もふくめ目標と計画を持って早急に整備・拡大すること。
(8)晴海~築地間の首都高晴海線の都市計画の中止を、東京都および国に申し入れること。
(9)交通事故をなくすため、自動車に優先権を与えない「ボンエルフ」の理念を中心にすえて、生活道路は、「ハンプ」や「ジグザグ型道路」による道路構造の改良を行うこと。
(10)歩行者の多い交差点は、「歩車分離方式」をさらにすすめ、勝どき駅前交差点、水天宮交差点など、スクランブル交差点にするよう、関係機関と協議し、実施すること。
(11)自動車振動による被害を防ぐため、現在の監視対象道路の実態を精査し、調査地点拡大と低騒音舗装を進めること。
(12)共同配送・集配システムは、商業地区での荷捌き対策、輸送・配達効率、交通渋滞緩和、自動車交通量削減などを具体的に検討し、実施すること。
(13)交通量、交通事故の削減と公害対策のため、民間会社が行っている「カーシェアリング」の実施状況を検証し、区としても普及に努力すること。特に車両の集中の多いタワー型ビルでの実施を促し、自動車交通量の削減を図ること。
(14)春・秋実施される「交通安全運動」などに、広く区民やドライバーから、区内交通危険箇所を通報してもらえるよう、広聴はがきや電話、インターネットなどで情報を収集して「ヒヤリマップ」を作成すること。その際死亡事故など重大交通事故発生個所も掲載し、交通安全対策に積極的に活かすこと。

2.「江戸バス」の利便性をたかめるために
(1)「江戸バス」の運行は、運行路線を周知し、利用者の拡大に努力すること。また運行表には、最寄りの地下鉄やJR、民間が運行している「メトロリンク」等、他の交通機関との接続の案内を表示すること。
(2)バス停、運行経路など、区民の要望を常に掌握し、改善をはかること。
(3)南北縦断ルートを早期に実現すること。
(4)エコバス・電気バスの導入を進めること。 

3.自転車を重要な都市交通手段として位置づけるために
(1)自転車を重要な都市交通手段として位置づけ、総合的対策を行なうこと。
(2)歩行者安全のためにも、自転車走行空間整備を計画的にすすめること。車道に自転車専用道路を整備すること。特に晴海通りや清澄通りなど幅員のある都道・国道は、車道側に自転車専用道路を設置するよう、関係機関と協議を進め、早期に整備をはかること。
(3)車道を走行する自転車の安全を確保するため、路上パーキングの撤去について地元と協議し警察に求めること。
(4)駅周辺の放置自転車については、JRと東京都交通局の責任の明確化をはかり、対策を強化すること。
(5)大型商業店舗の事業者に対して、駐輪場の設置・拡大を求めること。
(6)区営駐輪場の利用は無料に戻すこと。
(7)サイクルシェアリングの大規模集合住宅や事業所への導入拡大をはかること。
(8)子どもたちの安全を守るため、区内の保育園、学校など、特に子供たちの利用が多い施設周辺の危険度チェックを行い、自転車対策を強化すること。
(9)利用が増えているコミュニティサイクルは、サイクルポートを増やし、周辺区との連携をさらに広げて、自動車に変わる交通手段として利用され、放置自転車の減少につながるよう、利用拡大をはかること。
(10)コミュニティサイクルの事故防止に努めること。

4.バリアフリー・福祉のまちづくりをすすめるために
(1)交通バリアフリー法にもとづき、区内各駅に、地上までの上下双方向のエスカレーターやエレベーターを設置するよう、区が把握している周辺開発計画をふまえ事業者への指導を強めること。JR馬喰町駅、銀座1丁目駅改札階から地上階への出入口、日比谷線人形町駅の勾配が急な水天宮側出入口、月島駅1・2・3番出入口を早期に改善するよう、JR東日本、東京都交通局、東京メトロに求めること。
(2)地下鉄出入口階段は、特に下りの1段目が危険なので、手すりの総点検を行い、改良するよう地下鉄事業者に求めること。
(3)地下鉄月島駅構内の強風の緩和対策を早急に行うよう東京メトロに申し入れること。
(4)人口増加に伴う都バスの利用状況を調査し東京都交通局に増発を申し入れること。
(5)「バリアフリー・福祉のまちづくりマスタープラン」を関係者・住民参加で策定し、「買い物・散歩等に対応したコミュニティー単位の地区」「主要な商業・公共施設等が集積する地区」「再開発等面的開発が計画されている地区」などのマスタープランを検討すること。
(6)「中央区福祉のまちづくり実施方針」にもとづく公共施設のバリアフリー化や関連施策の総合的とりくみの実施状況を定期的に点検し、区民に公表すること。
(7)「おでかけマップ―区内バリアフリーガイド」は、最新情報を盛り込んだ改訂版を早期に作成し、携帯しやすいよう小型化すること。スマートフォンなどで利用できるようにすること。
(8)高齢者などが散歩や買い物の途中で、ひと息入れられる椅子やベンチなどをきめ細かく設置すること。
(9)都バスの停留所に屋根やベンチを設置するよう都交通局に求めること。特に、歩道も広く既に屋根が設置されている水天宮前のバス停にベンチを設置すること。

九、子どもたちの豊かな成長を保障する教育をすすめ、区民のための文化・スポーツの発展のために

1.侵略戦争肯定の教育や「日の丸・君が代」強制をやめさせるために
(1)自国中心のナショナリズムと国益のための「人づくり」をねらう安倍政権の「教育改革」を許さず、子どもの学ぶ権利を保障し、一人ひとりの「人格の完成」をめざす教育を行えるよう、教育環境の整備をはかること。
(2)憲法に反した「愛国心の強制」「教育への無制限の権力介入」などの不当な支配を教育現場に持ち込まないこと。
(3)憲法、子どもの権利条約を基本に、学習の権利が保障された「子どもが主人公」の学校づくりをすすめること。
(4)学校の教育活動は、行事の企画・運営をふくめ、子どもの「意見表明権」を最大限尊重し、子どもたちが主体的に「参加」する権利を保障すること。
(5)国連子どもの権利委員会が日本政府に提出した日本の子どもの現状についての提案・勧告の内容をふまえ、「高度に競争的な教育制度」をあらためること。
(6)「学習指導要領」を理由とする東京都教育委員会の「実施方針」による「日の丸」「君が代」の強制は、教育現場に混乱を持ち込み、内心の自由をふみにじるものであり、学校教育への押しつけはやめること。(⇒幼稚園については、小中学校の指導要綱を準用して入園式、卒園式などでつかっている)
(7)靖国神社の軍事博物館である「遊就館」の宣伝ポスターやビラが学校へ送付された場合、教育委員会として、中止を求め、返送するなど、毅然とした態度をとること。

2.民主的教育の推進のために
(1)教職員が多忙、過労、競争、成績主義から解放され、心身共に健康で、仲間の教職員と協力して教育に専念できるよう教育条件・勤務条件を整えること。成績を評定し給与に差をつける教員の人事考課制度を中止すること。
(2)教員の授業力向上は、日々の授業の実践のなかで培うものであり、指導教員の負担が大きいメンタティーチャー制度は見直すこと。
(3)「統括校長」「主任教諭」などの職務職階制度は、教育現場で求められている自発的で対等に支え合う関係を壊すものであり、国及び都に対し中止を求めること。
(4)区独自に実施している、教員免許所有者を配置する「学習指導補助員」や、土曜補習などの学習補助者の勤務時間、待遇を改善すること。
(5)首長が直接任命する教育長を教育委員会のトップにすえ、首長による教育内容への政治介入を可能とする教育委員会制度のもとでも、教育委員会は教育の自主性・自立性を守り、政治的中立性確保に努めること。また、教育長は合議体としての教育委員会の意思決定に基づき事務を執行すること。
(6)教育委員は一党一派に偏することなく、選考過程について透明性を高め、憲法を厳守する人を選任すること。
(7)教育委員の公選制の復活をめざし、当面、区民から推薦を受けて選考する制度をつくるなど区民に開かれた選考方法を取り入れること。
(8)教育委員会の運営は、事務局主導でなく、教育委員の自主性を尊重すること。
(9)教育委員会が傍聴できることを区民に周知するとともに、傍聴人数の制限については、中央区教育委員会傍聴人規則第3条を変え、希望すれば誰でも傍聴できるようにすること。また、手続きの簡素化や広い会議室を使用するなどの改善を図ること。
(10)教育委員会の形骸化を招かないよう、「まちかど教育委員会」の充実を図ること。こども、保護者、住民、教職員の要求をつかむため、対話やアンケート調査に力を注ぐこと。

3.少人数学級の実現で、ゆたかな人間形成とたしかな基礎学力を保障するために
(1)中央区でも少人数学級を実施し、国に対して30人学級編成の一日も早い実現を求めること。当面、35人学級を早急に全学年に拡大すること。
(2)幼稚園の学級定数は、4、5歳児は20人、3歳児は15人以下とすること。また、幼稚園教諭は非常勤待遇ではなく、正規教諭として配置すること。
(3)すべての子どもにゆたかな人間形成の基礎となる学力、体力、情操、民主的市民道徳を、確実に身に付けさせることを教育の基本に置くこと。
(4)習熟度別学習は、子どもの発達段階にそくした系統的なものにするとともに、真に基礎、基本的な事項については、十分な授業時間をとって、すべての子どもがわかるまで教えられるようにすること。
(5)全国学力テストは抽出調査で十分であり、実施しないよう国に求めること。結果の公表は行わないこと。
(6)全国、都、区がそれぞれ行っている「学習力テスト・調査」は、子どもたちや教師にも負担になっており見直しを行なうこと。テストによって競争に追い立て、ふるい分けする教育の是正をはかること。
(7)道徳の教科化を行わないよう国に求めること。「規範意識」や「愛国心」を柱にすえ、特定の道徳観を押しつける国定教科書ともいうべき「私たちの道徳」(旧「心のノート」)の使用は中止すること。
(8)中学校での武道必修においては、生徒への強制はおこなわず、指導者に医学知識も身につけた専門家を配置するなど安全には充分留意すること。
(9)組み体操は、安全第一の立場で検証すること。

4.保護者の教育費負担の軽減のために
(1)義務教育は無償の原則に立って、教材・教具などは区費で賄い、父母負担の軽減をはかること。
(2)教科活動費及び修学旅行・遠足などの保護者負担の解消に向けて、当面区補助の増額を行い、保護者負担を軽減すること。
(3)教育費負担の軽減を図るため、国に対し公立高校授業料無償化への所得制限導入の中止や私立高校の無償化の実施、大学の学費軽減を早急に実現するよう求めること。また、返済不要の給付型奨学金の拡充や生活保護母子加算と児童扶養手当の拡充、就学援助対象者の収入基準引上げと支給額の増額を求めること。
(4)就学援助制度は、生活保護費削減の影響がでないよう改善するとともに、就学援助世帯への標準服補助制度に加え、全ての小中学校新入生に、標準服の補助や共通買物券による入学祝品などで、教材費などの教育費の保護者負担を軽減すること。
(5)学校・幼稚園の周年記念行事は、「主人公は園児・児童・生徒」であることを明確にし、必要な費用は公費とし、祝賀会は簡素にして地域住民・保護者の負担を軽減するよう、指導を強めること。
(6)就学援助制度は、希望する該当者が気がねなく申請・受給できるように、提出書類の表現に十分配慮すること。
(7)入学準備金は入学前に支給すること。
(8)学校標準服のリユースを促進すること。
(9)「受験生チャレンジ支援貸付事業」の普及・利用促進に努力すること。

5.教育環境を守り、安全でゆとりのある学校教育のために
(1)特認校制度は、小学校自由選択に道を開き、同じ公立小学校の中で特色を競い合い、差別化をはかるという問題を生み出すので、再検討すること。
(2)学校建物の改修・改築を各校からの要望によって計画的にすすめ、エレベーター設置などの障害児・者に対するバリアフリー化を行うこと。
(3)中学校の「自由選択制」は、学校間格差が広がり、地域と学校が育んできた教育環境を壊すことにつながるので再検討すること。
(4)宇佐美学園は、健康学園としてその活用が十分にはかられるように、廃止せず、積極的な児童受け入れをすすめ、維持発展をさらにはかること。そのために、区民へのPRも強化すること。
(5)学校周辺の大気汚染・騒音などの公害による影響・実態を把握すること。
(6)特認校に通うスクールバスに補助員を配置し、車内における児童の安全性を高めること。
(7)学校の保健室は、医師、カウンセラーなどの専門家と連携して、子どもの心身を支える役割を果たせるよう充実させ、大規模校での養護教諭の複数配置や幼稚園への保健室の設置と養護教諭の配置をすすめること。

6.学校図書館の充実のために
(1)学校図書館の活用を活性化するため、小中学校全校へ「司書教諭」でなく専任の「司書」の配置をはかること。
(2)学校図書館指導員などの専門家との協力や子どもたちの要望を活かし、蔵書数、図書館の面積の充実を図り、学校教育での図書館本来の機能を発揮させること。
(3)学校図書館指導員の待遇を改善すること。

7.安全な学校給食実施のために
(1)食育の観点から、各校に栄養教諭の配置をめざすこと。
(2)義務教育は無償という立場から、学校給食は無料とすること。当面、学校給食の食材費補助を増額し、保護者負担を減らすこと。
(3)学校給食の調理業務の民間委託化は小学校への拡大を中止し、元に戻すこと。
(4)安全でおいしい給食を提供できるよう、栄養士の各校への配置をめざすこと。
(5)給食食材の放射能汚染について、区として定期的な調査を行い結果を公表し、児童・保護者の不安を払拭すること。特に放射性物質の蓄積が心配される魚介類について、慎重に検査すること。
(6)安全性に問題が出ている遺伝子組み換え食品や輸入食品は使用しないこと。
(7)O-157対策などに万全を期し、安易な外国輸入食品の使用は行なわず、食品添加物、残留農薬などのない国内産の安全な食品・農産物を使用するよう極力努力し、学校給食の安全性をいっそう高めること。
(8)米飯給食をふやすこと。

8.放課後の居場所「プレディ」の充実のために
(1)放課後の居場所「プレディ」は、ボランティアの協力に依存することなく、財政面でも職員配置でも、区が責任を持っておこない、運営を民間業者に丸投げすることは止めること。
(2)プレディを学童保育、児童館の代替としないこと。利用者や保護者の意見を聞き、施設の充実をはかること。
(3)プレディへの障害児の受け入れを進め、必要に応じ専門職員を配置すること。

9.障害児教育の充実のために
(1)障害児の安全な通学のためにスクールバスの運行を実施すること。当面、通学の交通費の補助や、一人ひとりの状況に応じて小学4年生以上も通学支援ヘルパーの利用ができるようにし、保護者負担の軽減をはかること。
(2)特別支援教育は、障害に伴う困難に応じて、それを軽くする訓練や教育を受け、豊かな人間的発達を遂げられるよう学習活動をすすめること。
(3)特別支援教育専門員の増員を都に求めるとともに、補佐員を増員し、一人ひとりにゆきとどいた教育を行うこと。
(4)放課後デイサービスの定員をふやすこと。
(5)「ことばときこえの教室」は、児童や保護者の意見を取り入れながら、支援に力を注ぐこと。必要に応じて速やかに教員を加配すること。

10.いじめの解消、不登校の問題解決のために
(1)いじめ、荒れ、非行や暴力の問題は、安易に警察に頼ることなく、関係機関と適切に連携しながら、教職員、生徒会、PTAなどの集団的な英知で真剣に対応し、解決に力を尽くすこと。
(2)中央区いじめ対策委員会、いじめ問題対策連絡協議会は、いじめの実態に即した具体的な解決策や取り組みを講じられるよう努力すること。
(3)生徒に対する教師の体罰、言葉や態度で相手を傷つける行為、学校や教師に対する暴力、生徒間の暴力もふくめ、学校内外のいかなる口実による暴力も許さない原則的態度を、すべての学校、教育関係者、教育行政機関において確立すること。
(4)スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを各校に配置し、常時相談に対応できるようにすること。
(5)不登校の児童・生徒の問題に積極的に対処するため、個々の状況に応じたきめ細かな対応と、カウンセリング機能の充実、適応教室の十分な体制づくりをすすめること。また、学校と児童館、学童保育、図書館などとの連携をはかり、居場所づくりを援助すること。授業に出られない児童・生徒の学習権を保障すること。
(6)障害児だけでなく、不登校児、在日外国人の子どもなど、きめ細やかな支援を必要とする子どもたちに、十分な予算をつけ、他の子どもたちと同じように活動できる配慮をおこなうこと。
(7)子どものうつ病の早期発見や治療に結びつける系統的な支援をおこなうこと。
(8)適応教室「わくわく21」は、不登校の児童・生徒が通う意欲を引き出すもとのなるよう工夫を凝らすこと。
(9)LGBT(性的マイノリティー)への差別解消策を策定し、周知をはかること。

11.社会教育の充実のために
(1)社会教育の分野に「愛国心」の強要などを持ち込まず、社会教育の自由で自主的な活動を保障すること。
(2)社会教育活動のいっそうの発展のために、社会教育会館やブーケ21の登録団体の利用料を無料に戻すこと。
(3)社会教育会館の利用者がふえ、希望する日に会場が確保できない状況からも、特別教室など学校施設の開放を進めること。特に、学校の音楽教室など、合唱や楽器の練習とともに演奏発表のできる施設を拡大すること。

12.社会体育の充実のために
(1)区内の小・中学校の運動場、体育館、プール、テニスコートなどの体育施設の区民および在勤者への開放をよりいっそう積極的に進めること。
(2)月島・浜町運動場の未使用時に、保育園や小中学校、区民などへの無料開放の拡大をはかること。
(3)区立プールや総合スポーツセンターなどで年間パスポートを発行し、利用者の利便を図ること。
(4)近隣住民から強い要求がある月島第三小学校の学校プールは、団体開放だけでなく、一般開放も早急に再開すること。
(5)隅田川テラス、スーパー堤防、晴海などの街路に距離標識を設置するなど、ウォーキングやランニングコースとしての整備をすすめること。
(6)増加する子ども数に対応するため、区立プールや総合スポーツセンター、ほっとプラザはるみでの子ども向け水泳教室を拡充すること。 

13.文化の発展に寄与する図書館運営のために
(1)「本の森ちゅうおう」計画の再検討において、図書館への指定管理者制度の導入をしないこと。図書館司書の専門性を生かした意見を十分に取り入れ、中央図書館としての内容の充実を図ること。
(2)図書館司書は正規雇用とし、知識・経験の蓄積をはかること。図書館の窓口は直営に戻すこと。
(3)視力障害者のための点字図書、テープを増やすこと。利用度の高い図書、CD等については購入点数を増やし、DVDを購入するなどサービスを充実すること。「本の森ちゅうおう」は、点字本の製作作業所の部屋を確保すること。点字図書やテープの宅配サービスと対面朗読サービスをセットして、視覚障害者が情報に接する機会を増やすこと。
(4)図書整備費の削減をやめ、購入費を増額し、蔵書を増やすこと。
(5)中央区の戦災、戦争被害、学童疎開などに関する資料の収集・保存・公開などを引き続き行ない、郷土の歴史に根ざした平和教育を進めること。

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