2023年 区議会第二回定例会 一般質問

2023年6月22日

日本共産党中央区議会議員  奥村暁子

【質問項目】

  1. マイナンバーカードについて
  2. インボイス制度について
  3. 都有地の活用について
  4. 熱中症対策について
  5. 学童クラブの待機児童解消について
  6. 教育負担の軽減について
  7. 教員不足の解消について

 日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。答弁によっては、再質問、再々質問を留保させていただきます。

1.マイナンバーカードについて

 初めにマイナンバーカードについて質問します。
 マイナンバーカードを巡っては、「マイナ保険証」に別人の情報が誤って登録されたり、公金受取口座の誤登録、コンビニでの証明書の誤発行、別人へのマイナポイント付与、別人のマイナンバーへの年金情報誤登録などトラブルが相次ぐさなか、2024年秋に現行の健康保険証の廃止などを定めた改定マイナンバー法が6月2日、国会で成立しました。
 その後もマイナンバーカードを巡るトラブルが次々と明らかになっており、個人情報を扱うシステムとして体をなしていない実態が浮き彫りとなっています。
 数々のトラブルは、国民不在で進められてきた政府のデジタル化政策が原因です。
 マイナンバーカードの普及はデジタル化のカギとされ、岸田政権が健康保険証の廃止という強権的手段を打ち出してからカードの取得申請は急激に増えましたが、それに伴って誤登録が起きています。
 政府の強引さは、国から自治体への交付金の配分方法にも表れています。
 例えば、地方交付税の交付額を決める地方財政対策では、2000億円の「地域デジタル社会推進費」の事業期間を25年度まで延長し、23年度、24年度に「マイナンバー利活用分」として500億円を増額します。この「特別分」は、カードの普及率が上位3分の1の自治体に対して、割り増して配分する仕組みとなっています。
 カード普及率を餌にした交付金の配分方法は、自治体が学校給食費や保育料の無償化を実施する際に、カード取得を条件とした岡山県備前市のような自治体の暴走も生みました。
 そこでお聞きします。
 第一に、中央区での直近のカードの普及率、それに伴う交付金額についてお示しください。
 第二に、自治体を競わせ、政府の思惑に沿わない低普及率の自治体に不利益を被らせるような財源配分は、地方交付税制度の主旨をゆがめるものだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

 連日のトラブルでマイナンバーカードを返納する動きも広がっており、神奈川県平塚市は、マイナンバーとひも付けた「公金受取口座」への給付金支給について「住民側は不安に思うだろうと考え、いったん、取りやめることにした」とのことです。
 そこでお聞きします。
 中央区でカード返納の動きはありますか。マイナンバーカード取得者の約6割が公金受取口座登録済みとのことですが、中央区での登録状況はいかがですか。また、本人ではない公金受取口座登録はありましたか。神奈川県平塚市のような住民に寄り添った対応も必要だと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

 「マイナ保険証」については、別人の医療情報が誤登録された事例が7000件以上発覚していますが、他人の医療情報に基づいて誤った診断や薬の処方が行われれば、命を危うくする危険があります。河野太郎デジタル相も「健康に被害が及べば深刻なトラブル」と国会で答弁し、重大性を認めました。
 また、これまでの保険証と違い自分で申請しなくてはならない上に、有効期限までに被保険者の手元に新たな保険証が届く現行のしくみと違い、5年に1度更新手続が必要です。マイナ保険証を持たない被保険者に交付される「資格確認書」も有効期間は1年以内で申請が必要です。どちらも申請しなければ無保険者になってしまい、その場合は窓口で10割負担となるなど不利益ばかりです。
 施設入居者のマイナ保険証申請を誰がするのか、政府から具体的な方策は示されておらず、訪問・在宅医療、高齢独居の方々の申請、管理なども未解決のままで、障害者の場合には申請・取得・管理・利用のそれぞれに大きな問題を抱えています。
 法案審議の参考人質疑では障害者団体の代表の話として、「車いすに乗っている人が、顔写真にヘッドレストが写っていることを理由に申請を却下された」「黒目のない人が顔写真を撮り直すよう言われた」などマイナンバーカードの申請を巡る深刻な実態が告発されました。
 政府は「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」などと言いますが、介護高齢者や障害者など最も弱い立場の人々を「取り残す」ものです。
 マイナ保険証トラブルと保険証廃止に関しては、新聞各紙の社説でも「見直しは今からでも遅くない」(読売新聞)、「マイナ保険証『一本化』強行許されぬ」(朝日新聞)、「混乱続くマイナカード 拙速排し立ち止まる時だ」(毎日新聞)、「『普及優先』見直す時だ」(産経新聞)、「少なくとも現行の健康保険証は維持すべき」(東京新聞)など、政治的な立場を超えて「立ち止まれ」という声が広く起きています。
 安全なシステムという前提は破綻しています。拙速な2024年秋の保険証廃止は中止し、仕組みのあり方を全面的に見直すべきではないでしょうか。
 そこでお聞きします。
 第一に、区内でマイナ保険証の誤登録の事例はありましたか。また、医療機関のマイナ保険証のトラブルで最も多いのは、保険資格は有効なのに資格確認システムで「無効・該当なし」と判断されるケースとのことですが、こうした不具合について把握していますか。窓口負担が10割となったケースなどはありますか。
 第二に、マイナ保険証は現行の保険証以上に厳重な保管、管理が求められます。個人情報が流出すれば処罰もありうる重い負担を特別養護老人ホームなどの職員に負わせることは問題だと思いますが、いかがですか。
 第三に、個人情報の漏洩や国による一元管理に対する国民の不安を置き去りにし、個人情報のひも付けへと突き進む岸田政権ですが、2024年秋の保険証廃止はやめ、いったん運用を止めて問題を検証するよう国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

2.インボイス制度について

 次にインボイス制度について質問します。
 これまで消費税の納税を免除されてきた年間売上高1000万円以下の小規模事業者に新たな税負担がのしかかるインボイス=適格請求書制度ですが、導入開始予定の10月1日まで4カ月を切りました。
 インボイス制度で負担を強いられるフリーランスなどから「廃業を考えざるをえない」との悲鳴とともに、導入の延期や中止を求める声が大きくなっています。
 東京商工リサーチが昨年12月に実施したアンケート調査では、インボイス制度に登録しない免税事業者とは「取引しない」と回答した企業が10.2%と1割を超えており、日本商工会議所も2023年度の「税制改正に関する意見」の中で「免税事業者(約500万者)が取引から排除されたり、不当な値下げ圧力等を受けたりする懸念」に加え、「発行する請求書の様式変更、システムの入替・改修、受け取った請求書等に登録番号があるかの確認」など「多大な負担が生じる」として、「インボイス制度の導入延期を含めた対応」を強く求めています。
 国税庁がインボイスの該当者となる1286万の国民・事業者にインボイス制度を解説するチラシを送付しているにもにもかかわらず、インボイス登録事業者は315万事業者(5月時点)にとどまっており、いまだ制度について知られていない現実もあります。
 そのため政府は、3月末としていた事業者の登録申請期限を9月30日まで事実上延長する措置をとりましたが、制度の抱える問題を取り除くものではありません。インボイス制度はきっぱり中止すべきです。
 そこでお聞きします。
 第一に、インボイスで苦境に立たされる事業者の実態をどう把握していますか。
 第二に、地方自治体の特別会計や公営企業は年間売り上げ1000万円以上であれば消費税を納めていますが、インボイス制度導入後は免税業者からの仕入れに含まれる消費税額を差し引くことができなくなり、自治体の消費税納税額が増えてしまいます。それを回避するため、地方自治体の公共事業や公共調達などからも免税業者が排除される危険があることが指摘されていますが、区と取引のある対象事業者はどれ位ありますか。区が事業発注する条件にインボイス登録を要件としないことを求めますが、いかがですか。
 第三に、公益社団法人シルバー人材センターでは、インボイス実施によって免税業者との取引で仕入れ税額控除ができないため、消費税約200億円の増税となる見込みとなっており、各自治体はその穴埋めとしてセンターへの発注単価の引き上げを提案していますが、中央区での影響と対応についてお示しください。
 第四に、自治体と取引のある特定の事業者や公益財団法人に対する新たな消費税負担の押し付けや取引からの排除をしないことは重要です。そのためには地方自治体の予算、すなわち税金で消費税分を穴埋めすることになりますが、民間の取引にはそうした補填は一切ないことを考えれば、公平性の観点からも唯一の解決策はインボイス中止しかないと思いますが、いかがですか。国に対し、中止を求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

3.都有地の活用について

 次に都有地の活用について質問します。
 これまでにも2016年、元中央警察署跡地の都有地の活用を提案し、2020年に保育所が整備されたという経緯がありますが、今回、晴海にある都有地を活用し、仕事と住居を失った路上生活者などに対して一時的な保護や就労支援を行ない、社会復帰を促進するための宿泊型施設として、自立支援センター「中央寮」が設置されることが、先日の福祉保健委員会で報告されました。
 自立支援センターは特別区を5ブロックに分け、各ブロックに1カ所ずつ、5年ごとの持ち回りで設置するとのことで、「中央寮」は令和7年8月から5年間、中央区晴海一丁目1番の都有地に設置されるとのことです。
 コロナ禍で職を失い、やむを得ず路上で生活せざるを得なくなるケースなどもある中、命や健康が蝕まれることがないよう社会保障の拡充や公的支援の強化が欠かせません。まずはしっかりと自立支援を促すことに注力することは言うまでもありませんが、自立支援センターとしての役割を終えたのちには、区内に残された貴重な都有地であるこの土地を有効活用していくことも大事ではないでしょうか。
 そこでお聞きします。
 第一に、晴海一丁目1番の都有地は敷地面積約2,200㎡で、「中央寮」設置のために活用されるのはその一部とのことですが、活用されない余剰分の敷地はどのような扱いとなるのでしょうか。
 第二に、「中央寮」設置の期間は5年間となっていますが、恒常的な施設としないのはなぜでしょうか。
 第三に、設置期間満了後には、低家賃住宅やスポーツ施設、子どもや高齢者施設などにこの都有地を活用していくことを求めますが、ご見解をお示しください。
 それぞれお答えください。

4.熱中症対策について

 次に熱中症対策について質問します。
 政府は、熱中症対策で関係府・省庁が今後5年間で取り組む実行計画を5月30日に閣議決定し、過去5年間で1000人を超えている死者数を2030年までに半減させる目標を掲げました。
 熱中症の死者数は昨年までの5年間の平均で1295人となっており、8割以上を体温調整機能が衰えがちな高齢者が占めます。また、屋内での死者の約9割がエアコンを使っていなかったり所有していなかったりしました。
 熱中症にならないようエアコンを使うことを奨励する一方で、政府は5月16日、電力大手7社による6月からの家庭向け電気料金の大幅値上げを了承しています。標準家庭の値上げ率は平均15~40%と大幅であり、物価高騰に苦しんでいる家計をさらに痛めつけることになります。
 そこでお聞きします。
 第一に、区内で熱中症の死亡例はありますか。エアコンを利用していなかったことを要因とした熱中症の事例についてもお聞かせください。
 第二に、政府は65歳以上の高齢者に適切なエアコン利用を呼びかけるなどの対策を今夏から強化するとのことですが、それにはエアコンを所有していることが前提となります。
 区内の店舗でエアコンを購入した場合、5万円を助成する荒川区の事例などを紹介し、エアコン購入費の助成をこれまでも度々求める中で、区からは「経済の活性化といった部分もある」ことを認識している旨の答弁もありました。
 大変な猛暑が予測されている今夏、区民の命を守るため、特に生活困窮世帯に対しエアコン購入費を助成することを求めますが、いかがですか。区内に個人経営の家庭用電化製品を販売している事業所や配線等の電気工事を行っている事業所はどれ位ありますか。地域経済の活性化という観点からも助成制度は有意義だと思いますが、いかがですか。
 第三に、5月補正予算では物価高騰対策として、世帯全員が住民税非課者、または均等割のみ課税者である世帯に対し、1世帯あたり3万円の給付金支給が決定しましたが、電気代などへの充当分として十分とはいえないと思いますが、いかがですか。追加の給付や生活保護受給世帯への夏期見舞金の復活を求めますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

5.学童クラブの待機児童解消について

 次に学童クラブの待機児童解消について質問します。
 増え続ける学童クラブの待機児童解消策として、学童クラブとプレディを一体的に運営する「プレディプラス」という新たな構想が昨日の委員会で示されました。小学校内にある現在のプレディルームを学童クラブとして使用し、図書室や音楽室などの特別教室をプレディが使用するとのことです。
 学校内での学童クラブ整備はかねてから提案してきたものの、プレディプラスは指定管理者に業務委託し運営される計画となっていることは問題です。子どもたちとの継続的な係わりが重要な公の施設に、利益を追求する民間企業が参入し、低賃金により職員が頻繁に入れ替わるようでは、児童の福祉の増進ははかることは困難です。
 そこでお聞きします。
 第一に、プレディプラスは区直営で運営することを求めますが、いかがですか。
 第二に、区が補助金を出し今年4月に開設された(株)ベネッセスタイルケアが運営する学童クラブは、利用料が1カ月36000円と高額で、定員は40人ですが現在20人の空きがある状況となっています(6月7日)。区は今後も民間学童クラブの誘致をすすめるとしていますが、無料で利用できる区立の学童クラブ整備で待機児童解消をはかることを求めますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

6.教育負担の軽減について

 次に、教育負担の軽減について質問します。
 今年4月から学校給食費の無償化が始まり、保護者の方から大変喜ばれています。
 無償化を契機に、「義務教育は無償」と定めている憲法26条に立脚し、学校給食を教育の一環として捉えなおすことや、教材費や標準服、修学旅行費用などへのさらなる教育費の負担軽減に向けた施策が拡充されることを切に願います。
 そこでお聞きします。
 第一に、学校給食は、教育格差の解消やこどもの生存権保障のためにも、時限的ではなく恒久的な制度として無償化することを求めますが、いかがですか。
 第二に、中央区では、アレルギーや宗教上の理由で弁当持参としている児童が8人、生徒が1人おり、都立特別支援学校に通う児童は65人、生徒は21いるとのことです。弁当持参の児童・生徒に対しては学校給食無償化に準じた補助をすること、また都立特別支援学校に通う児童・生徒についても給食費を無償とするよう求めますが、いかがですか。
 第三に、幼稚園に通う児童への食費補助を求めます。いかがですか。
 第四に、国に対して、学校給食費無償化や高等教育の無償化による教育負担軽減を求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

7.教員不足の解消について

 次に、教員不足の解消について質問します。
 教員の多忙化などを要因とした教員志望者減少により、本来配置されるべき教員が配置されず、代替教員も配置されない状況が全国で広がっていますが、中央区でも昨年度、2人の教員欠員がありました。
 公立学校教員には残業代が支給されない現行の制度の見直しや、学校の業務量に見合った教職員配置を実現すべく教育予算を増額するなどして教員不足を解消しない限り、日本の公教育は持続できない危機的な状況にあります。国の制度改正と併せ、東京都、中央区ともにでき得る限りの対策を講じる必要があります。
 そこでお聞きします。
 第一に、今年度の正規教員、正規教員以外の講師の方たちについて、現在と今後の欠員の状況についてお示しください。また、今後の教員欠員への対応策についてもお示しください。
 第二に、教員確保策について、私は今年2月の委員会で教育長に対し、山梨県で教員確保策として創設された貸与型奨学金について免除する制度を東京都でも検討するよう促すことを求めました。教育長からは教員採用試験の時期を前倒しし早期の確保につなげる取組みの紹介もありました。教員確保策の進捗についてお聞かせください。
 以上で1回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

ページトップへ▲