2023年 区議会第三回定例会 一般質問

2023年9月21日

日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子

【質問項目】

  1. ジェンダー平等について
  2. 新型コロナ感染症対策について
  3. 保育の質の確保について
  4. マイナ保険証について
  5. 教育問題について

・・・・・・・・・

日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。

1.ジェンダー平等について

 始めに、ジェンダー平等について質問します。
 世界経済フォーラム(WEF)が6月に発表した「ジェンダーギャップ指数」で、日本は146カ国中125位と過去最低になりました。特に「政治分野」は138位、経済分野は123位です。日本が各国のジェンダー平等化のスピードに追い付くには、この分野での男女格差の解消が急務です。
 中央区では、今年3月に、中央区男女共同参画行動計画2023を策定し、男女共同参画社会を目指して、5つの基本目標を定めて取組みが始まっています。
 そこで、中央区の取組みについて3点質問します。
 第1に、ようやく昨年から始まった男女別賃金格差の公表制度にかかわって、中央区役所も特定事業主として男女別賃金を公表しました。「令和5年度 女性の職業選択に資する情報の公表」によると、職員の男女の給与の差異は、「任期の定めのない常勤職員」で86.7%、それ以外の職員(非常勤)で97.5%、全職員では82.4%となっています。この現状についての分析と、今後男女の賃金格差是正にどう取り組んでいくのかお示しください。
 第2に、9月に報告された「中央区観光協会の運営状況について」の中で「令和5年度以降中央区観光大使・ミス中央の選出は行わない」ことを決定したことに注目しました。ジェンダー主流化の視点から区の施策の内容を一つ一つ点検見直し、取組みをすすめていくことが大切だと考えます。ご見解をお示しください。
 第3に、審議会などでの女性の比率を高めていく課題も重要です。2022年度、審議会等における女性委員の割合は、27%となっています。例えば、この間、2つの学校の改築にむけて、学校改築準備協議会が設置されましたが、メンバーに女性が少なく、残念に思います。町会からの代表を町会長に限定せずに各町会で出してもらうなどの方法で女性委員をふやす工夫をし、「政策・方針決定過程における女性の参画」を促進するよう求めます。ご答弁ください。

2.新型コロナ感染症対策について

 次に新型コロナウイルスの感染症対策について質問します。
 厚生労働省が9月8日発表した新型コロナウイルス感染症の定点把握調査では、新規感染者が5類感染症への移行(5月8日)後、3週間連続で最多を更新し続けており、初めて10万人を突破したとのことです。
 医療現場からは、入院先の調整が非常に困難になっているなど、深刻な実態を示す声が出されています。東京消防庁の週当たりの新型コロナウイルス陽性者を救急搬送した件数は、第7波のピークを越えました。
 しかし東京都は、コロナ患者等を受け入れる医療機関への支援金など、感染が拡大した時に実施するとしている事業をいまだに行っていない上、新型コロナ患者のために病床を確保した医療機関に支払う病床確保料も9月末で終了するとしています。
 また、厚労省は、現在全額を公費でまかなっているコロナ治療薬を、医療費の窓口負担の割合に応じて患者が負担するようにしたり、診療報酬上の特例や病床確保料といった医療機関への支援も縮小するとしています。
 そこで質問します。
 第1に、中央区内での感染状況や、医療現場の状況についてお示しください。
 第2に、東京都に対し、感染拡大時の医療機関への支援金事業を直ちに実施するよう求め、高齢者・妊婦支援型宿泊療養施設を10月以降も継続するよう求める必要があると考えますが、いかがですか。
 第3に、国に対し、病床確保料の補助や、コロナの治療薬、入院費用の公費負担などを10月以降も縮小せず実施するよう求めるべきだと考えますがいかがですか。
 第4に、保険診療で検査を受ける際の患者負担分の公費負担と、感染不安のある方への無料のPCR検査を再開することを求めますがいかがですか。
 それぞれお答えください。

3.保育の質の確保について

 次に、保育の質の確保について質問します。
 まず保育の量の確保、待機児童の解消についてです。
 長年の懸案だった保育所の待機児童は、昨年度ようやくゼロとなり、今年も国の算定基準(新定義)に基づく待機児童数はゼロとなりました。私たち日本共産党区議団は、かねてから「認証保育所」などでなく公立の「認可保育所」の増設で待機児童解消をと求めてきました。区は民間の認可保育所の誘致を進めてきましたが、人口増に施設整備が追い付かず、待機児童は2019年度末で574人、旧定義の「希望する認可保育所に入れなかった」いわゆる「かくれ待機児」でカウントすると1373人となる深刻な事態となっていました。
 中央区は、急ピッチで私立認可保育所をふやし、認定こども園の増設などをすすめ、ようやく待機児童が「国基準」でゼロとなったことを評価するものですが、昨年は、旧定義の「かくれ待機児童」は271人、今年は151人とのことです。
 そこで質問します。今後、はるみフラッグへの入所が始まることに伴って、保育所の入所希望も一気に増える中、待機児童を生まないよう、また「かくれ待機児」も解消できるようにする施設整備の見通しについてお示しください。

 次に、保育の質の確保の問題についてです。
 国は、待機児童解消のために、規制緩和と企業参入を拡大してきました。ビルの一室、園庭・ホールのない保育園が増え、保育園内での事故も増えています。区内でも企業内保育所で乳児が睡眠中に亡くなる事故がおきました。全国各地で、お散歩先で子どもが置き去りにされたり、こども園で送迎バスに子どもが取り残されて亡くなる事故もおきるなど、保育の質の低下が大きな問題になっています。
 保育の質を確保するには、保育士の役割が決定的ですが、配置基準は長年低く抑えられ、日常的に業務量が多く長時間労働で、保育士の給与は全産業平均より月8万円低いという状況が続いています。特にこの間コロナ禍で業務量が増えるなど、保育士の負担は大きくなっていますが、根本的な配置基準の引き上げはなされず、賃金の底上げも進んでいません。
 質の高い保育の提供のためには、施設の改善とあわせて、保育士の給与を上げて、人員を増やし、健全な環境のもとで保育ができるようにしていくことが必要です。
 ところが、企業参入を拡大するため、保育事業でも、黒字を出して株主への配当金や高い役員報酬を実現できるような仕組みがつくられ、株式会社が運営する保育所で、人件費、保育士の賃金を抑えて利益をあげていることが各地で問題になっています。
 そこで3つの問題について質問します。
 第1に、「不正受給」の問題です。
 昨年1月に保育大手グローバルキッズカンパニーの不正受給が発覚し、その後も、今年8月、目黒区で保育園を運営する会社が5500万円を不正受給していたことが発覚するなど、各地で問題が起きています。
 そこで質問します。区内で「不正受給」問題は起きていないか、チェックする仕組みは万全なのか、ご答弁ください。
 第2に、保育委託費「弾力運用」についてです。
 「弾力運用」とは、私立保育園で、本来人件費に充てるべき運営費を、人件費部分を抑えて、本部経費や株式配当に流用できる仕組みで、収入の3割は繰り越すことができ、積立金に回したり、他の自治体の系列事業所に回すことも可能となります。
 中央区では、2020年度、「取崩し協議書」を区を通じて都に提出し、「弾力運用」を申請した内の10の保育所で、税や本部経費を目的とした「取り崩し額」の合計が2億1千万円を超えていることが、都へ情報公開請求した報告書で明らかになっています。
 そこで質問します。
 2021年度は、(22年11月議会の区の答弁によると)「取崩し協議書」の提出が31件とのことでしが、「取り崩し額」の合計はどれくらいでしたか。
 2022年度では「取崩し協議書」は何件提出され、額はどのくらいですか。他の自治体にある施設に「流用」される事例はありますか。
 保育委託費は、株主配当や他の施設に回すのでなく、保育士の待遇改善などに使って、質の高い保育が提供されるよう指導すべきだと考えますが、いかがですか。
 それぞれご答弁ください。
 第3に、人件費比率についてです。
 国は都区部の保育士の給与を年間約440万円と想定して運営費を支給していますが、昨年11月議会のご答弁で、中央区の認可保育所の常勤保育士の給与は平均で360万円、人件費の割合は45%とのことでした。現在はどのようになっていますか。
 世田谷区では、事業者に人件費比率が50%以上になるよう求める「人件費比率50%ルール」というものを定めています。中央区でも同様のルールをつくり、質の高い保育を提供する事業所とすることを求めます。ご答弁ください。

4.マイナ保険証について

 次に、マイナ保険証についてです。
 岸田政権は改造内閣でも、保険証の廃止と一体にマイナンバーカードを全国民に持たせる方針を変えようしていませんが、今でもトラブルが多発しており、マイナ保険証への一本化を中止し、現行の健康保険証を残すよう求める声が広がっています。
 マイナ保険証を医療機関の窓口で提示しても、機械でカードを読み込めなかったり、医療費の負担割合が間違って表示されたりするトラブルが相次いでいます。マイナ保険証のシステムを導入した医療機関が「紙の保険証も持参してください」と呼びかけることが当たり前になっています。行政の現場では、証明書の誤発行や、公金を受け取る銀行口座の誤ったひも付けが続発しました。
 マイナカードの誤ったひも付けについて政府は11月末を期限として総点検を進めていますが、マイナカードの交付数は9500万枚を超え、対象となる個人情報は数十億項目にのぼります。政府の総点検を巡って、実際に点検業務を担う自治体から、膨大な作業を懸念する声が上がっています。
 そこで質問します。これ以上の情報流出やトラブルを防ぐために直ちにマイナ保険証を利用するシステムの運用を停止し、システムそのものを含めた完全・確実な総点検を行なう必要があると考えますがいかがですか。
 中央区が直接発行している国民健康保険証、後期高齢者医療保険証について、マイナ保険証の登録は3割ということです。マイナ保険証を持たない人も多いなかで、健康保険証が廃止されれば、公的保険診療が受けられないこととなりかねません。政府は、マイナ保険証を持っていない人全員に「資格確認書」を発行するなど対応を打ち出していますが、「資格確認書」の交付のための費用負担や人手をかけるより、現行の保険証を残せば問題ありません。マイナ保険証を持っている人にとっても、健康保険証を残せばトラブルが起きた際にもすぐに解決できます。
 そこで質問します。現行の健康保険証を存続させることが必要だと考えますがいかがですか。
 次に「医療DX(デジタル変革)」についてです。
 政府はいま国民の個人情報のデータの連携や利活用を大規模に行なうデジタル化政策を推進し、その中核として「医療DX」で、マイナ保険証とマイナポータルの組み合わせた医療情報のデジタル化と共有、2次利用をすすめようとしています。
 蓄積された個人の医療データをもとに、公的医療機関の給付の対象を精査して患者の負担を増やすこと、個人情報と行政機関の情報などをあわせて民間企業に提供しビジネスとして利用できるようにすることが想定されています。その先には、健康・医療情報はもちろん、個人の生活、購買、移動のデータなど、あらゆる個人情報をひも付けし、企業や行政がAIを使って自動的に分析、評価、選別した上でビッグデータ化して2次利用することもめざしています。
 そこで質問します。
 第1に、医療機関の受診歴・処方歴など機微性の高い医療情報がビジネスに利活用され、情報漏えいのリスクにさらされることは問題だと考えますがいかがですか。
 第2に「個人情報は人権」を基本に、データの使われ方をコントロールできる権利など、人権、プライバシー権を守る仕組みが求められていると考えますが、いかがですか。
 ご見解をお示しください。

5.教育問題について

 次に教育問題について質問します。
 まず、「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)」についてです。
 東京都教育委員会は、中学校英語の「話す」力を確認するためのテストESAT-J(イーサットジェー)を、昨年度の都立高校入試に使いました。
 実施前から指摘されていた様々な問題点が明らかになっているのに、都教委は今年度も入試に活用することを予定しています。
 イーサットジェーは公立中学3年生全員が受け、学力検査でなく入試の調査書の一部として総合得点に加算される方式ですが、受験しなかった生徒は「仮結果推定」で点数が決まり、結果的に合否が逆転することもあるなど、不公平なしくみのテストです。試験当日も、他の受験者の声が録音される、前半組の解答が聞こえるなどの問題がおきました。
 そこで質問します。
 第1に、スピーキングテストを入試に使うのは問題だと思いますが、いかがですか。9月の区民文教委員会で、受験する生徒の中に不安があり、都に改善するよう求めている旨のご答弁がありましたが、不安が広がっている不公正な仕組みのテストを入試の合否判定に使うのはきっぱり中止するよう求めるべきだと考えます。ご答弁ください。
 第2に、中央区では1、2年生もスピーキングテストを実施し、全国学力テスト、学習力サポートテストなども行われています。ひとりひとりの到達度を見るためテストも一つの方法ですが、全国一斉に、また東京全体で実施するテストは、都道府県ごと、市町村ごと、学校ごと、そして個人で順位や点数を比べることになり、不要な競争をあおることになっていることが問題だと考えます。いかがですか。ご答弁ください。

 最後に、不登校の子どもへの支援についてです。
 中央区での不登校による長期欠席者は、2022年度、小学校で91人、中学校で136人と報告されています。不登校の子どもが前年度の1.2倍に、2年前と比べると2倍になっています。全国的にも不登校の割合が急増し、24万人と、過去最高を記録しました。これは、コロナ禍の影響が大きいといわれていますが、学校が子供にとって安心して学べない、息苦しい場となっている反映ではないでしょうか。不登校は、一人一人、その理由や状況が違いますが、不登校を本人の性格や家庭の責任とするのでなく、子供の個性や多様性を尊重した丁寧な関わりが必要だと思います。
 そこで、質問します。
 第1に、不登校が増えている要因について、どう把握されていますか。今年度はコロナ禍の状況が変わってきてはいますが、不登校の児童・生徒数、状況はどうなっていますか。
 第2に、本定例会に、不登校の生徒が増加する中、中学校の空き教室を活用して別室指導を充実し、10月から佃と日本橋2校、来年度は全4校で実施するための補正予算が提案されています。先行して実施している江戸川区は、専任の教員を配置し、自習する場所の提供だけでなく、生徒同士の交流もできるような場にしたたことで成果を上げているとのことです。中央区ではどう取り組んでいくのかお示しください。
 第3に、教育センター内に設置されている適応教室「わくわく21」は、新たにタブレットを活用した学習支援なども行われているとのことですが、登録者、利用者の状況はいかがでしょうか。「適応教室」になじめない子どもも多いのも現実ではないでしょうか。今後どう運営し、充実を図っていくのかお示しください。
 第4に、適応教室や、学校の別室指導などの場だけでなく、学校以外の様々な学びの場として、子どもに合ったフリースクールなど、学びの場、居場所を拡充していくことも必要です。東京都がおこなっているフリースクール費用の支援に上乗せして、中央区でも費用の補助をすすめるよう求めます。ご答弁ください。
 第5に、総務省行政評価局が実施した調査では、不登校の児童・生徒に対し、「登校だけを目標にしない」という文科省の基本指針を、当事者の保護者の6割が知らなかった、指針を知っていたら学校外の支援先を選んでいた可能性があるという割合は7割近くに達したということです。一方、学校では民間の支援機関の情報を提供することが難しいなど、学校外との連携についての課題も示されました。(日本教育新聞230821)
 そこで質問します。
 教育委員会の方針として、「登校だけを目標にしない」という文科省の基本指針をふまえた丁寧な対応や、情報提供を行なうことが必要だと考えますがいかがですか。民間の支援機関の情報や親の会などの情報も提供して、当事者や保護者を孤立させない支援を求めます。いかがですか。

 以上で一回目の質問といたします。ご答弁をよろしくお願いします。

ページトップへ▲