令和4年度中央区各会計歳入歳出決算の認定に対する態度表明

2023年10月11日

日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子

 令和4年度(2022年度)中央区各会計歳入歳出決算の認定に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
 日本経済は30年にわたって深刻な停滞に陥り、それに加えて物価高騰が国民に襲いかかっています。実質賃金はピーク時の1996年から年収で64万円も減りました。国の社会保障や教育への公的支出はきわめて低い水準です。国でも地方自治体でも、生活を守る緊急対策をとりながら、経済の落ち込みを打開する抜本的な改革を講じることが求められています。
 日本共産党区議団は、2022年度の決算の認定について、区民に一番身近な自治体として、困っている人に支援が届く予算執行となったのかという視点で審議にあたりました。
 2022年度の予算を審議した予算特別委員会では、日本共産党区議団は、区民の命と生活を守る施策を予算化するという基本に立って、予算修正案を提案しました。生活保護世帯への歳末見舞金・夏期見舞金の復活や、都の実施に先駆けて子ども医療費助成の対象年齢を18歳まで拡大すること、区独自にコロナ感染症診療検査医療機関への支援金を支給すること、学校給食食材費値上げ分の半額補助を全額補助に増額し、値上げを中止する費用などを計上し、その財源として、道路占用料の適正化を図るため、区の引き上げ予定額をさらに上乗せする歳入増により、一般会計を1億4534万円増額する提案です。残念ながら、修正案は否決されましたが、こうした経過を含め、日本共産党中央区議団は、決算案について詳細に質疑し、総合的に検討した結果、議案第101号 令和4年度中央区各会計歳入歳出決算の認定に反対します。
 以下その理由を述べます。
 2022年度の決算は、一般会計で約1350億円となりました。増額の主な要因は、晴海に新設する小・中学校の建設費用や、昨年12月開設の本の森ちゅうおうの整備費などとともに、7つの地区の市街地再開発事業助成が189億円となり、歳出決算の14%を占めることなど、投資的経費の増大です。
 その他区内では、32件もの再開発事業が進められており、区内の建築物による述べ床面積は拡大の一途です。
 2022年度は「サステナブルシティ中央区を目指してーコロナを乗り越えた先にある未来に向かってー」と題し、「環境行動計画」の改定、旧館山臨海学園の敷地を活用した太陽光発電所整備などがすすめられましたが、脱炭素社会の実現を目指し、エネルギー消費量の65%を占める民生業務部門のCO2の排出量削減は待ったなしの課題です。
 ゼロカーボンめざす2050年まで、あと27年しかありません。これから建設する建物は、断熱基準の高い、ゼロエミッションビルをめざすことと合わせ、床面積の拡大を抑えていくまちづくりの転換が必要です。

 言うまでもなく、地方自治体の本旨は「福祉の増進」です。
 電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金や、高齢者向け区内共通買物・食事券の給付などが行われましたが、物価高騰が続く中、さらなる支援策が求められます。
 特別養護老人ホームの待機者は280人となっており、在宅福祉の充実とともに、介護施設の増設を計画的に進めていく必要があります。ケア労働を担う人材の確保と待遇の改善も必要です。
 子育て分野では、2022年4月で待機児童ゼロとなりましたが、隠れ待機児は271人、年度末の2023年3月では588人となり、引き続き量の確保が必要です。あわせて、私立認可保育所の運営費「弾力運用」を見直し、保育士の待遇改善をはかって、保育の質の確保もかかせない課題です。
 学童クラブの不足も深刻化し、民間学童の誘致だけでなく、区の責任で施設を整備することを求めてきました。2023年に開設された民間学童クラブは40人定員で利用者は20人と伸び悩んでいます。2024度から学校内に学童クラブが設置されることは重要ですが、早期に学童クラブの待機児童を解消するよう求めます。
 子ども医療費助成は、東京都が2023年度から18歳まで拡大することにさきがけて、区として2022年度中に早急に実施するよう求め、学校給食費の無償化も要望してきました。ともに2023年度から実施されたことは評価しますが、今後とも継続、充実を求めます。
 大規模開発には財政も投入して進める一方で、福祉や教育の施策は、施設も足りない、人員の配置も十分進んでいない状況が続いており、こうした分野にもっと予算を投入していくことが必要です。
 中央区役所職員の男女の給与の差異は82.4%と公表されました。区内事業所も含め、男女の賃金格差の是正など、ジェンダー平等に向けた取組を一層強化していくことを求めます。

 次に特別会計についてです。
 国民健康保険は、国の制度として未就学児の保険料均等割が半額となりしたが、多子世帯の保険料軽減は限定的です。保険料は一人あたり約5000円の値上げとなり、被保険者数は270人減っているのに、保険料は3.1億円の増収となっています。一般会計からの繰入を増やして、高すぎる保険料を引き下げることを求めます。
 介護保険は、原則1割だった利用料が、所得によって2割、3割の自己負担となっています。後期高齢者医療は、新年度から、単身で年収200万円以上、夫妻で年収320万円以上の高齢者が2割負担となり、75歳以上の20%に当たる高齢者が窓口負担2倍化となりました。
 保険料も利用料負担、医療の窓口負担も引き上げばかりです。受診抑制、利用の抑制につながることになり、到底容認できません。
 なお、国は来年秋に健康保険証を廃止して、マイナ保険証に一本化する方針を打ち出しましたが、国民健康保険や後期高齢者医療保険でのマイナ保険証登録者は現状3割台で、資格確認証の発行などでさらに混乱が広がることは必至です。健康保険証の存続を求めるものです。
 以上、各会計決算に対する反対理由を述べ、日本共産党区議団の態度表明を終わります。

ページトップへ▲