令和6年度中央区各会計予算に対する態度表明

2024年3月25日 日本共産党中央区議会議員団

 令和6年度中央区各会計予算に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
 物価高騰が続き、2023年の年間の消費者物価は、生鮮食料品を除いた総合指数で前年比3.1%増となりました。多くの区民の暮らしや営業は長期に渡って厳しさが増す一方で、大企業の内部留保は510兆円を超え(2022年法人企業統計)、一握りの富裕層に富が集中しています。労働者の実質賃金は96年のピーク時から年間64万円も減少しています。
 政府の2024年度予算案は、物価高騰対策に無為無策を続け、国民のくらしを守るものになっていません。軍事費は8兆円近くとなる一方、実効性のある賃上げ対策はなく、社会保障費も圧縮します。
 経済対策の目玉として打ち出した「定額減税」は1回だけの減税で、「賃上げ減税」も、赤字経営の中小企業には縁のない施策です。物価高騰対策に一番効果のある消費税の減税には背を向けています。
 能登半島地震の被災者支援は、23年度の予備費からの1500億円の支出では全く不十分です。被災地の救援と復興、そして物価高騰から生活を守り、経済の停滞を打開するには程遠い予算案です。
 小池都政の新年度予算案は、財政規模は、一般会計だけで8兆5千億円と過去最大となっています。「経済界ファースト」で、日本橋や築地市場跡地などの大型開発や、大型道路建設などにおよそ1200億円、急成長が見込まれる一部企業の支援に516億円もの予算が計上されています。一方で、都民が物価高騰に苦しむなか、都営住宅の新規建設は25年間連続ゼロ、高すぎる国民健康保険料を引き下げる財政支援はなく、ひとり親家庭や障害児のいる家庭への児童育成手当は28年間で1円も増額されていません。史上最高水準が続く都税収入を、都民の暮らしと営業を守り、格差を是正するために使うべきです。
 中央区に求められるのは、こうした国や都の悪政から区民生活を守る「防波堤」の役割をしっかり果たし、「公助」の力を最大限発揮することです。
 中央区の新年度一般会計予算は1,335億円で、前年度比10%の減と3年ぶりの減額予算となっています。晴海西小中学校、晴海特別出張所複合施設の整備完了による投資的経費の減などが主な要因ですが、市街地再開発事業助成は9件の事業に241億円が投入されます。
 日本共産党区議団は、区議団に寄せられた切実な要求や政策的な要望を集約し、916項目の「2024年度中央区予算編成に関する重点要望書」を区長に提出し、積極的に予算化するよう求めました。
 本予算特別委員会の質疑では、問題点を指摘するとともに具体的な提案を行いました。
 区長提案の予算案には、幼稚園弁当給食の開始や幼稚園預かり保育の充実、区内共通買物・食事券の拡充、感震ブレーカー無償配布など評価できる施策もありますが、抜本的な見直しが求められる多くの課題があると考えます。
 日本共産党中央区議会議員団は、総合的に検討した結果、議案第1号「中央区一般会計予算」、議案第2号「国民健康保険事業会計予算」、議案第3号「介護保険事業会計予算」、議案第4号「後期高齢者医療会計予算」に反対します。
 以下、具体的な課題について述べます。
 まず、一般会計についてです。
 第一に、23区で中央区のみが徴収する情報公開手数料は、区民サービスの向上という観点から無料とすべきです。
 第二に、会計年度任用職員が増大し、官製ワーキングプアが広がっていることは問題です。手当てをつける必要のない民間委託の増大も危惧されます。地方公務員法の原則である「任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営」に立ち戻るべきです。
 第三に、マイナ保険証の不備が次々と明らかになる中、現行の保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化することは問題です。また、税・保険料・住宅使用料等の収納率向上対策としてマイナンバーカードを使用した口座振替受付サービスなどを広げることや、認証保育所保育料補助金の交付に関する事務にマイナンバーを利用するなど、マイナンバーカードの活用範囲を広げることはやめるべきです。利便性と引き替えに、命と健康が脅かされることや、個人情報流出の危険を避けることが必要です。
 第四に、防災対策が不十分です。耐震改修工事の助成拡充や太陽光発電機と蓄電池配備を防災拠点に広げることを求めます。発災後のボランティア活用も国、東京都と共に積極的に進めることが必要です。
 第五に、築地市場跡地は能登半島地震での災害対策の課題も踏まえ、防災公園としても活用できるよう、広大な緑地として整備すべきです。地域遺産として浴恩園の保存も不可欠です。
 第六に、環境に多大な負荷をかける大規模再開発事業による超高層オフィスビルやタワーマンション建設は見直すべきです。地上げが横行し、地価や不動産価格の上昇が困窮世帯の住まいを奪う役割を果たしていることも看過できません。災害発生時に避難所不足や帰宅困難者増大を招く点からも問題です。
 第七に、困窮世帯の住まい確保に力を注ぐべきです。都営住宅、区営住宅など公営住宅の拡充や借り上げ住宅、家賃補助など、中央区に住み続けられるようにするための支援が必要です。
 第八に、エアコン設置費助成など困窮世帯や高齢者世帯への支援が不十分です。
 第九に、物価高騰、円安の進展など家計負担が重くなる中、教材費など保護者負担を軽減すべきです。また、区として奨学金制度を設けるなど教育負担の軽減を図るべきです。
 第十に、不登校の子どもに対して、「校内別室指導」の拡充やフリースクール、特例中学校整備など選択肢を広げ、学びの機会確保に積極的に取り組むことが必要です。区独自のスクールカウンセラーの拡充も求めます
 次は特別会計についてです。
 国民健康保険料は、2024年度も値上げが予定されています。一人あたり保険料は、約1万3千円増で、22万5千円となります。
 特別区として、一般財源からの法定外繰入れを2026年度に無くす計画を中止すること、繰入金をさらに投入するなどの努力を行い、国や都の補助を増やして保険料そのものを引き下げていくことを求めます。
 介護保険では、第9期保険料として、基準額で4,560円値上げし、年額75,600円とする予定です。介護保険給付準備基金の活用で仮算定より減額しましたが、保険料は第1期と比べ、2倍となっています。
 指定居宅介護支援事業について、人員や運営の基準の改正が予定されていますが、事業所の人手不足を解消する上で課題があり、必要な介護サービスを提供できるよう介護保険制度の改善こそ必要です。
 後期高齢者医療では、広域連合で保険料の値上げが決定され、2024年度は一人あたり平均で11万円をこえる保険料となっています。減らし続けてきた国庫負担を元に戻し、さらに増額もして、医療制度をしっかり支えることが求められます。
 以上、各会計予算案に対する反対理由と主な課題を述べ、日本共産党区議団の態度表明を終わります。

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